新横田基地公害訴訟団ニュース

第48号  (2003年3月17日)
いよいよ 控訴審がはじまります
弁護団事務局長  土橋 実
去る2月24日、東京高裁の法廷において、裁判所が主催した進行協議が開かれました。 控訴審の進行について、私たちは次のような計画であることを伝えました。 まず、主張はほぼ出そろっているので、主張のやり取りをするのは二回程度にとどめ、被害地域のビデオ検証、現場検証(一回)を行うことを求める。また、被害立証を中心に、住民の代表者数名程度の尋問を予定し、被害を放置している国の責任を明らかにするため、外務大臣や防衛施設庁長官の証人尋問を求める。こうした手続きと平行して、第一審で陳述書を提出していなかった住民について、追加で陳述書を提出する予定である。審理の期間としては、第一回口頭弁論期日から一年半程度で控訴審の審理を終える予定である。そして、控訴審の第一回口頭弁論期日は、5月に開いて欲しいと伝えました。 これに対し国も、弱化の主張の補充を行うほか、一審で認められなかった「平成10年コンター」について、主張・立証の補充を検討中とのことでした。現場検証については、国も必要と考えているとのことでした。 さらに、住民の陳述書が提出されれば、「危険への接近」の観点から、本人尋問を請求することもあるとのことです。居住の事実の立証や反証に若干の日時は要すると思われるが、それほど長期間の審理は念頭にないとの意見でした。 裁判所は、住民側、国側双方の予定を参考に審理計画を考え、近く第一回期日の指定がなされることになります。 とくに、現場検証の必要性は双方が一致し、裁判所としても現地を見たいとの意向ですので、本年の秋頃には実現しそうです。 いよいよ近く控訴審がはじまります。早期解決をめざし、引き続き取り組みを強めていきましょう。


基地騒音訴訟 勝利のために決起集会
八王子労政会館
手をつなごう 勝利めざして

東京高裁控訴審を間近にして去る1月25日、私達は基地騒音被害を闘っている嘉手納・普天間両基地、石川県小松基地、厚木基地の訴訟団・弁護団と共同して、総決起集会を開き「ともに実現しよう爆音のない空を!基地騒音訴訟をいかに闘い抜くか!」と題してパネルディスカッションを行いました。 集会はまず榎本信行弁護団長をはじめ角界挨拶の後、土橋実新弁護団事務局長が基調報告で「原告6000名というまれに見る大規模裁判を維持し、一審では賠償勝訴という一定の成果を得ることがが出来ました。高裁では、『危険への接近』法理による不当な減額などをはね返し、一審を上回る成果を勝ち取るとともに、何としても夜間・早朝の差し止め勝利に向かってさらに団結を固め、頑張っていきましょう」と話されました。 集会はこの後、同じ原告でもある、夫婦デュオ[天笑楽]のアトラクション、そしてパネルディスカッションと続きました。 各パネリストからはそれぞれの基地の実情に会わせた闘い方が披露されました。 また東京大気汚染裁判を闘う仲間たち、高尾山天狗裁判を闘う仲間たちの会場発言が互いに共鳴しあい、勇気づけられる意義ある集会となりました。


「決起集会に参加してよかった!」 参加者の声
「いつもニュースの送付を受け情報を手に入れていました。今回初めて町会の仲間と参加し、各地の訴訟団の熱意を感じ、貴重な体験をいたしました。これからも折々にふれ都合のつく限り参加したいと考えております。」

「危険への接近に関して厚木訴訟の真屋さんの『実際に住んでみないとわからない』という考え方に、まさにその通りで勇気づけられる思いです。他の訴訟団の意見を聞けて良かったと思います。」

「名前だけの原告でほとんど運動に参加していなくて申し訳なく思っています。今日来て本当に良かった。勇気づけられました。今後はできるだけ参加していきたいと思います。」

「多数の参加で良かったですね。熱気で暑かったです。ディスカッションも聞いて、日本が独立国かどうかあらためて考えさせられました。様々な公害で苦しんでいる多くの人たちが団結して、住みよい日本を作っていくために力を合わせましょう。」


空港弁護団会議ミニ報告
熱気むんむん 弁護士  山本 哲子
1月25日、午後からの決起集会に先立って全国空港弁護団会議が開催されました。 小松、厚木、新嘉手納、普天間と新横田の各騒音訴訟の弁護団と沖縄県の健康被害調査にも関わった平松幸三先生も交えての会議。 昨年は小松、新横田、厚木と相次いで判決が出され、普天間が司令官をも被告とした訴訟を提起し、その後はじめての空港弁護団会議だっただけに、会議室は熱気むんむん。 新横田から厚木に対しては、危険への接近論をいかに打破したか必死の模索。コンターと被害との関係をどう見るか、各地の意見の違いも出され、平松先生からは、騒音評価基準がこれまでのWECPNLからLEQへの変更が検討されているというホットな情報も披露された。 各地の奮戦、苦戦ぶりを肌で感じた2時間であった。


なくせ公害守ろう地球環境 総行動成功への熱海合宿に参加して
八王子支部幹事  金子 康彦
合宿会場の熱海に近くなると、11月半ばというのに、車窓から桜の花が見えてきた。大島桜という種類だそうだ。 「全国公害被害者総行動」は今年で28年目、6月4日〜5日に予定されている。その成功のための合宿に参加した。 全国の公害被害者が大きく団結して、被害の救済と公害の根絶を求めて運動することにより、環境行政を前進させ、企業の環境対策を改善させてきた。その総結集が「全国公害被害者総行動」である。 総行動の一環として、毎月末の木曜日には「公害環境キャンペーン・霞ヶ関共同宣伝行動」を取り組んでいる。 これに私たちも毎回代表を出している。2月27日には寒空の下、ビラの配布と併行して東京大気汚染裁判の原告100余名の方々が、国土交通省へ抗議と交渉、そして座り込み行動を取り組みました。 署名を集めることやこのような世論に訴える運動が、特に公害裁判の勝利のためにはなにより大切です。 5月16日には川辺川利水訴訟の控訴審判決が出ます。全力で勝利して、そのうねりを6月の総行動に継いでいこうと確認しあいました。 私たち新横田基地公害訴訟は控訴審となり短期決戦が予想されます。あとひとふんばりです。6000名の仲間が互いに励まし合いそして全国の仲間と手をつないで最後の勝利をめざしましょう。


ニューフェイスの紹介
今回新横田弁護団に加わった ニューフェイスをここで紹介します。
弁護士  与那嶺 慧理(よなみね えり)
昨年10月に弁護士登録をして新横田訴訟の弁護団に入ることになりました。 私の住んでいる南大沢は横田基地と厚木基地の間にあるので、乗り物好きの息子(2歳)と飛行機を眺めることも多いのですが、低空飛行で機体が大きく見えたり、年に数回ですが朝6時ごろに大きな音を立てて飛行機が通ったりするとかなり怖いです。 これが毎日のように続く基地周辺の方々がどんなに恐怖を感じていられるかと思うと、早く飛行差し止めが認められるようにしなければと思います。 入ったばかりで訴訟のことは分からないことだらけですが、少しでもお力になれるようにがんばりたいと思いますので、よろしくお願いします。


弁護士  井堀 哲(いぼり あきら)
はじめまして。 昨年10月に、弁護士登録したばかりの新米弁護士です。 事務所は四谷ですが、生まれも育ちも八王子市です。私の母校は、横田を離発着する戦闘機の騒音が酷かったため(恩恵を受けて?)都立で初めてクーラーが設置されたという曰く付きの高校です。故郷の美しく青い空を、人殺しの武器が横切っていく。これを許すわけには行きません。 訴訟では、騒音による損害賠償が争点になっていますが、目指すは飛行の差し止めです。 平和で美しい空を。その空を見上げる私たちが、世界中に人々が平和に過ごしていることを想像することができるような日を。 そんな「ある日」を夢みて、闘って行けたらと思っております。

↑UP ←BACK  NEXT→