新横田基地公害訴訟団ニュース

第3号  (1995年 8月26日)
30万被害住民の爆音被害の怒りを結集し
          9月中に1千世帯、3千人以上の原告に
新しい1万人訴訟の各地の「説明会」も6月よりはじまり、原告住民の申し込み者も着々と増えてきています。新横田基地公害訴訟準備会では、1万人訴訟のステップとして9月中に1千世帯、3千人以上の原告をめざし、取組みのテンポを早め、がんばっています。

三次にわたる裁判によって、「米軍横田基地の飛行は違法状態にある」「国は被害を与えている住民に損害賠償をすること」との判決が出され、「夜10時から朝6時まで間、原則的に飛行を禁止する」ことになりました。しかし、夜間、早朝の飛行が続き、周辺自治体や青島都知事の「中止要求」を無視し、NLP訓練が強行されるなど、いまだに私たちは爆音被害に苦しんでいます。
判決が認定した住民の爆音被害は、南北30キロ、九市一町に及び、約30万人が被害を受けています。
今度の裁判では、@国が無視できないように本当に多くの住民が結集すること。Aアメリカ政府を被告にすること。が注目されています。
まだまだ多くの住民のかたは1万人訴訟を知りませんし、爆音被害に怒りをもっていても、どうしたら良いかわからない人もたくさんいます。
新訴訟団に参加された皆さんが、隣近所や友人知人に声をかけ、原告の輪を広げてくださるようお願いします。

爆音のない静かな暮らしを実現するために!


八王子久保山町で騒音測定会
          〜都立大、明星大の英文学者も原告に〜
8月8日午後、八王子市宇津木台中公園にて「爆音をなくす会」主催による騒音測定のデモと1万人訴訟説明会が行われました。
30名以上の市民がテントに訪れ、爆音直下で最も被害の大きい久保山町、宇津木台周辺住民の訴訟団結成にむけた有意義な一日でした。
【八王子市 丸山町在住  小板橋 稔市郎】
説明会当日は、吉田、関島両弁護士、久保山町一丁目自治会永田対策委員長、横田市議ら20人の奮闘でにぎやかでした。
8月10日以降、艦載機の演習実施の報もあり、その騒音被害のひどさを測るため「延期したら」との意見もある中で、デモをやることに意義ありと予定通りの実施となりました。
はたして、日曜日のため、夕方までの飛行は、自衛隊らしき二機編隊の戦闘機と、ジェット輸送機二機の三回だけ、「今日に限っては飛行歓迎なのに」とジョークが飛びますが真夏の炎天下、テントを訪れた市民は、30数人に及びました。
北京の大学から帰国早々の東経大坂下先生揮号の大横断幕や旗が案内したためか、期せずして都立大学I先生、明星大学のO先生という地域住居の二人の英文学者が、「訴訟団に参加します」と一同を激励され、主催者を感激させました。
思案、研究を妨害する爆音のひどさ、折りしも広島被爆50周年の日に、平和運動の大切さをお互いに語り合い、確認しあう場となりました。
3千枚のビラの地域配布、のぼり、女性による風船の街頭配布などの宣伝効果も抜群でした。
子供連れの地域住民が熱心に質問、意見をかわす姿も見られました。


住民自治体の抗議を無視し米軍が夜間離着陸訓練を強行
8月
3日  在日米軍、周辺自治体に10日、14日、16日の3日間、空母インデペンデンス艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)実施を通告

4日  横田基地周辺市町基地対策連絡会、NLP中止を米軍、日本政府に要請青島都知事、米軍、日本政府に訓練中止を要請

10日 米軍、午後7時半より2時間にわたりNLPを強行、瑞穂町のJR箱根ヶ崎駅周辺の騒音は90デシベルを超える。福生市では、E2C早期警戒機が94回飛行(同市職員による)子供が眠れないなどの市民の苦情電話は50件以上にのぼる。



娘のために申し込みを決断
【昭島市美堀町大塚秀雄】
娘を飛行進入路直下の学校に通わせておりますので、止むに止まれぬ思いで申込書を同封しました。
全くの素人ですので法廷費用のことなど考えずに未だおります。
金銭的には全く力になれないと思いますが「数」として名を記すことで暴力に対し幾分かでも抵抗を示したいと思います。


1万人訴訟に向けた地域の取組み
<八王子・日野>
八王子では「爆音をなくす会」を中心に、原告集めがすすめられています。
東京土建八王子支部は、支援を決定、担当の執行委員も配置しました。日野は市長の後援会を中心に動きはじめました。
<昭島>
5つの自治会で説明会を実施、72世帯で25人の申し込みがありました。この夏には百世帯を超え、9月30日には、250世帯で、昭島原告団の結成会の開催をめざします。
<福生・羽村>
訴訟団準備会を中心に説明会を各戸訪問で会員を増やしています。現在58世帯、192名の原告となっています。
<瑞穂・入間・飯能>
瑞穂を中心に小規模会議を増やしていく予定、東京土建西多摩支部の組合員より参加の申し込みがありました。
<立川・武蔵村山>
8月8日の立川説明会で、当面の目標の10世帯をほぼ達成しました。さらに会員が、隣人や知人に呼びかけ奮闘しています。
今後の説明会
今後の説明会を@対象A日時B会場の順で案内します。詳細は事務局までお問い合わせください。
* 八王子宇津木台団地自治会/8月27日、午前10時/団地自治会集会所
* 昭島市互助会多摩野会/9月3日、午後1時/一一会集会所
* 昭島市緑ヶ丘地域/9月3日、午後7時/緑ヶ丘自治会館
* 昭島市拝島ハイツ/9月7日、午後7時半/拝島ハイツ集会所
* 八王子市長沼地域新婦人/9月7日、午後7時
* 昭島市拝島駅前地域/9月21日、午後7時/緑会館
* 昭島市富士見坂地域/9月28日、午後7時/緑会館


横田基地に衝撃、米で行動おこす
「世界の大都市東京にアメリカの基地があるなど信じられない」
6月の人権サミットで日本を訪れた、ナショナル・ローヤーズ・ギルド(全米法律家協会)のリーダー、アーサー・キノイ弁護士は、基地反対の運動を進める住民、日本共産党の緒方靖夫国際部長などと横田基地を視察し、世界の大都市、東京にアメリカの植民地状態があったことに大きな衝撃を受け、「この状態をそのままにして、私たちのアメリカ国民の幸福はこない」と横田基地問題をアメリカにおいても問題にし「日本の裁判所がアメリカの基地には主権が及ばないというのなら、われわれアメリカの主権者がアメリカでアメリカ政府相手に裁判を起こしたい」と行動を開始しようとしています。
横田基地公害対策弁護団は今後、キノイ氏に横田判決要旨の英訳文を送り、自由法曹団のアメリカ視察の際に、吉田弁護士(三多摩法律事務所)がキノイ氏に合い、意見交換を行う予定です。


過去10年の飛行回数は17万回以上
過去3年、いずれも平均以上の飛行回数
リサイクルセンターの調査により、横田基地の飛行回数は、1984年4月から10年間にのべ172,941回にものぼっていることがわかりました。
年平均17,294回、月平均1,441回、一日平均47回飛行したことになります。
飛行回数の多い月は12月から3月で、少ない月より2割から4割多くなっています。
また、湾岸戦争の起こった91年2月、3月の飛行回数は例年比べ極端に少なくなっており、横田基地が米軍の出撃拠点になっていたことをうかがわせています。
私たちにとって残念なことは、1991年からの3年間の飛行回数が、いずれも過去10年間の平均値を上回っていることです。
冷戦終結が叫ばれているにもかかわらず飛行回数がいっこうに減らないばかりかかえって増えているのには唖然とさせられます。


検証 横田基地@「基地の広さ」   田無市、保谷市を上回る
横田基地は、武蔵村山市、立川市、福生市、羽村市、瑞穂町、昭島市の五市一町にまたがっています。
面積は713万6千平方メートル、三多摩でいえば、田無、保谷市より広く「東京ドーム」の157倍である。
南北にのびる滑走路は長さ3350メートル、基地全体は、南北約4.5キロ、東西約2.9キロ、基地沿いに車で回ると14キロ以上になります。
1940年に旧日本軍の「多摩飛行場」として作られました。当時の面積は、現在の約6割の446万平方メートル、滑走路は、1300メートルでした。戦後、米軍に接収され、「横田基地」と命名され、朝鮮戦争、ベトナム戦争の出撃拠点となるなかで、東京都の上水道用地の接収、(1946年)五日市街道を分断(1950年)国道16号線を分断、JR八高線をねじまげて拡張され、現在にいたっています。
↑UP ←BACK  NEXT→