新横田基地公害訴訟団ニュース

第4号  (1995年10月11日)
新原告団結成めざし昭島に準備会
現在約550名が原告に参加 早期に2000名の原告団をめざす
米軍横田基地の爆音被害をなくし、静かな夜をとりもどそう、と1万人規模の新たな訴訟を呼びかけている新横田基地公害訴訟団昭島準備会の結成総会が、9月30日70名の被害住民、弁護士などの参加で開催されました。
総会の模様はTBSが放映、読売、毎日、赤旗、共同通信が取材するなどマスコミの関心の高さを示しました。
結成総会では大野芳一準備会世話人代表が、空母艦載機の夜間離着陸訓練によって、昭島市の人口の半数近くの1万8千世帯、5万4千名が深刻な爆音被害にあっていることを指摘、「静かな夜をとりもどそう」と呼びかけました。
昭島市の基地渉外担当主幹の原田晴光氏は、「市民は、日夜、騒音、事故の不安をかかえている。沖縄の米兵による少女暴行事件は、基地をかかえる私たちに強い衝撃を与えた。市民の暮らしを守るために今後とも努力したい。」と挨拶、新訴訟に期待と連帯を表明しました。
昭島準備会は、新原告団めざした最初の準備会結成となります。
準備会は、すべての地域から、全体で千世帯3千名の原告を集めて、訴訟団結成をめざします。


30万被害住民に幅広く呼びかけ年内7500名の原告をめざそう
各地域で、「説明会」が開かれ、宣伝も広がり、1万人訴訟への参加者が日々増えてきています。
新しい加入者が、近所や知人友人に声をかけるなど、運動の輪が急速に広がってきています。
チラシを見て、事務局に申込書を郵送してくれる人もいます。
準備会としては、各地域別、月別に目標を持ち10月から12月までの期間、重点的に原告を集めていく事を確認、12月末までに7500人をめざし、来春早々には、新訴訟団結成総会を開くことをめざし、準備を進めています。
新しい訴訟に多くの被害住民を集めることが、裁判に勝利するポイントです。損害賠償を受ける権利を持つすべての被害住民を対象に各地でスケールの大きな呼びかけを行っていきましょう。


環境基準を守ったのは年間たったの4日間
「在日米軍施設は、アメリカあるいは日本のいずれか厳しい環境基準のすべてを満たしている。」と、米国防総省の「日米安保関係に関する報告書」(1995年3月1日)は全くでたらめの報告をしています。1988年から92年の5年間を見てみると、横田基地の南側に位置する昭島市で環境基準が満たされたのは、のべ91日で残りの1774日はいずれも環境基準75Wを突破、北側の瑞穂町でも環境基準を満たしているのは、のべ143日間に過ぎません。
92年は最もひどく環境基準を満たしたのは、昭島の4日、瑞穂で13日間でした。外務省はアメリカに何を報告しているのでしょうか。


1万人訴訟に向けた地域の取組み
<八王子・日野>
八王子では「爆音をなくす会」を中心に、宇津木台団地(2回目)、長沼地域、久保町一丁目自治会役員、土建の各分会役員、丸山台テニスクラブでの説明会などで、11月には300世帯で、「八王子訴訟団準備会」結成をめざし奮闘中。日野も東平山自治会などで、新訴訟の参加の動きが始まっています。
<福生・羽村>
熊川第二都営の説明会、富士見台都営へのチラシまき、約300名の原告をさらに広げて、11月中に1000名を集めて準備会結成をめざします。
<立川・武蔵村山>
立川では前回訴訟を上回る30名の原告が、武蔵村山でも一世帯が原告に参加、年内に200人の原告を集め、準備会結成をめざします。
<瑞穂・入間・飯能>
瑞穂町と入間市での説明会を開催し、東京土建西多摩支部の協力で原告を増やしています。埼玉県への働きかけをはじめ、年内に準備会の結成をめざします。
[今後の説明会]
今後の説明会を@対象A日時B会場の順に案内します。詳細は事務局までお問い合わせ下さい。
* 昭島市拝島駅前自治会/10月10日、午後7時/拝島駅前自治会館
* 昭島市田中町住宅/10月14日、午後7時/田中町自治会第二集会所
* 瑞穂町中三丁目地区/10月30日、午後2時/中三丁目会館
* 八王子市長沼町/10月30日、午後7時/長沼町町会会館
* 入間市金子地区/10月22日、午後2時/金子公民館二階
* 瑞穂町説明会/11月12日、午後2時/武蔵野会館


新たなる展望に向けて
アメリカそのものに飛行差止めを求めるかってない裁判/学者や弁護士も注目
弁護団準備会事務局長  吉田栄士
少しずつうねりが大きくなってきました。
原告参加の運動は、昭島から、福生から、八王子からそしてその他の地域から大きく伝わってきています。
そのうねりは、それぞれの地域の特色があります。前の訴訟原告がまた動き出した地域、自治会が、自治会ぐるみで動こうとしている地域、隣近所の人と誘い合って参加してきた地域、大工さんや職人さんが立ち上がった地域、これからは各地でいろんな動きが出てくるでしょう。
今回の裁判は、軍用機を飛ばしているアメリカそのものに対しても、飛行差止めを求めます。
このような裁判はかつてないものです。
弁護団は学者の協力を得て検討班を作り、研究しています。学会も弁護士会も、マスコミもこの対米裁判を注目しています。
これからは今年一杯の原告の参加を募り、訴訟の準備をして、来年の3月までには第一次の訴訟をします。その間も、その後も引き続き原告の参加を求め、1万人の原告をめざします。「静かな夜を返せ」というささやかな要求を実現するため今一度汗を流そうではありませんか。


 
騒音気になる9割を超える    周辺住民アンケート
東京平和委員会が、福生市、羽村市、瑞穂町の住民292名に実施したアンケートによると航空機の騒音について、134名が、「非常にうるさい」135名が「うるさい」と回答し、「気にならない」は13名でした。
また、4割を超える、113名が、「航空機の事故への不安」を感じています。
基地返還については、賛成が8割の226名で、反対の14名、わからない39人を大きく上回っています。
返還後の跡地利用については、病院などの医療施設、公営住宅、公園などのレジャー施設などを望んでいます。
基地跡地を民間空港にすることについては、8割の住民が反対しています。
防衛庁が実施している防音工事につては、実施している住民は、3割の94名で、希望しているが工事されていないという住民は22名でした。


 
小松(石川県)で勝利報告集会   〜新しい裁判開始について発表
10月7日(土)小松基地訴訟の勝利報告集会が開かれ、弁護団から、吉田、関島、中杉、榎本の4名の弁護士が参加しました。小松訴訟は残念ながら75W値の損害賠償は認められませんでしたが、爆音被害をなくすために横田1万人訴訟の取組みに連帯して、新しい裁判を起こすことを決め、記者会見で公式表明しました。
今後とも互いに協力して「静かな夜」を取り戻すために連帯していきましょう。


 
検証 横田基地A「在日米軍司令部」   日米共同作戦の司令基地
現在の横田基地には大きく分けて二つの機能があります。一つは司令基地としての機能、もう一つは輸送基地としての機能です。
基地南西部には、1973年から、1974年にかけて関東計画によって日本政府の予算で作られた第五空軍司令部と在日米軍司令部の建物があります。
地上2階、地下3階の建物で、地下は「EWOシェルター」と呼ばれる核シェルターとなっています。
日本にある140箇所の米軍基地は、北朝鮮や中東をにらんだアメリカの前線基地。地域紛争への介入や戦闘地域への緊急投入を行う前方展開基地とされていますが、在日米軍司令部は、在日米軍の頭脳中枢部として作戦・指揮・管理を行うとともに、自衛隊との共同作戦の遂行と調整を行っています。
昨年1月21日から2月5日まで実施された日米共同指揮所演習「キーンエッジ94」では、基地内にはじめて自衛隊の「中央作戦調整センター」が置かれ、実戦色の強い指揮所演習が実施され、横田基地が日米共同作戦の司令拠点となっていることを示しました。


↑UP ←BACK  NEXT→