新横田基地公害訴訟団ニュース

第8号  (1996年 4月27日)
3140名が提訴
4月10日 東京地裁八王子支部に
午後2時から裁判所隣の明神町公園で、約100人の原告、弁護士などが、多くのマスコミが見守る中で集会を行いました。
山口義郎代表幹事と榎本信行弁護団長の挨拶、各地域の代表の訴えがありました。
10時に、「静かな眠れる夜を返せ」の横断幕やのぼり旗をかかげ、裁判所まで隊列を組んで行進しました。
裁判所に訴状を提出、受理されました。事件番号は平成8年(ワ){第763号}
原告は3140名で、被告は国とアメリカ合衆国、代理人弁護士251名です。
訴状は全原告世帯に送られます。
11時から記者会見を行い、「声明」を発表し、被害の実体、国と米軍の不誠実な態度を明らかにしました。
午後は、原告住民と弁護士が6班に分かれて横田基地、東京都、埼玉県及び被害地域の九市一町に挨拶と要請を行いました。
マスコミが異例の報道
提訴当日は、提訴前の集会から各自治体への要請まで終日マスコミ各社が取材、報道しました。
訴訟団事務所で行われた打ち上げ会にも、TBSやフジテレビが取材に来ました。
各社とも、3140名という日本の裁判史上最大の原告数と、初めてアメリカを被告にしたことを注目して報道していました。
アメリカのCBS放送、イギリスのBBC放送、ロイターなどからも取材がありました。


来日に合わせ米大統領に要請電報   
クリントン大統領に以下の要請文を送りました
米軍横田基地及び飛行直下の約三十万人の住民は、米軍機の騒音によって、昼夜を分かたず生活がおびやかされています。
また、事故や墜落の恐怖や様々な基地被害を受けています。
せめて夜九時から朝七時まで米軍機の飛行規制と、NLP訓練を中止し、静かで眠れる夜と住み良い生活環境を実現するよう強く要請します。米軍といえども日本の法や環境基準を厳しく守ることを求めます。
1996年4月18日
米大統領 クリントン殿
新横田基地公害訴訟団
被害地域自治体と横田基地に要請
新横田基地公害訴訟を提訴した4月10日に行った被害地域自治体と横田基地への要請行
動の結果を紹介します。
要請内容
(1)午後9時から翌朝7時までの一切の飛行規制。
(2)NLP訓練、旋回飛行、曲技飛行をしないこと。
(3)正月三が日、祝祭日、運動会、入学試験日などは飛行しないこと。
(4)騒音軽減のための、国、住民、周辺自治体、米軍の協議機関の設置。
(5)自治体が騒音測定と被害の実体調査をし、裁判資料に提供すること。
(6)住民の被害軽減のため、ご支援ご協力下さること。
<昭島市>
志茂企画部長と原野担当課長が対応、「今後も基地対策、NLPの中止など強力にすすめたい」「訴訟もおおいに頑張っていただきたい、市としてもできるだけ協力したい」と積極的な支援を約束してくれました。

<福生市>
並木茂秘書広報課長が対応、「今後も、夜間飛行、NLPの中止を関係機関に要請していく。」三者協議については、関係者と相談していきたい」物心両面の支援についても周辺市とも相談して対応して行きたい」との回答がありました。

<羽村市>
飯田企画部長が対応、「日頃から横田基地に対し、不満ややりかたない思いを感じてきた。基地は街づくりの障害になっている。騒音被害、墜落の不安で平穏な生活は妨げられている」と基地に対する不満を表明、「市長みずから横田基地、防衛施設庁、外務省に出向いて要請してきた」「訴訟要求は当たり前のものであり行政としてもできるだけ支援したい」「三者協議機関など具体的なことは今後考えていきたい」と積極的な姿勢を表明しました。

<八王子市>
茂木環境部長が対応、「谷地川の配水による汚染問題が起こり大変忙しいができるだけのことはしたい、市長に伝える」との対応でした。

<日野市>
被害地域に居住している森田市長自身が対応、「主旨は理解している。市として具体的に協力できることはないか」と要請の前に協力の意思を表示。「騒音測定をしており、機種も特定できるはず」と裁判資料の提供を約束してくれました。

<立川市>
親戚の不幸のため青木市長は、「訴訟団結成総会へメッセージを出さなかったことは申し訳なかった。あなたがたの運動に敬意を表します」との挨拶で退席。その後は中原企画部長ほか2名が対応。「今からでもメッセージに代わるものを出したい。今年から五市一町の幹事市になった。勉強したいこともあるので、別途会う機会をつくってほしい」との対応で、話し合いの窓口には榎本弁護団長があたることを確認。(次号にメッセージ)

<瑞穂町>
岡部親義企画部長ほか2名が対応。「行政の立場から、協力に限界があるが、出来る限り協力はおしままない」との対応でした。

<武蔵村山市>
乙幡清企画財政幹事、波多野幹生企画課長、内野恵司郎企画調整係長が対応、「対象戸数が少ないものの将来とも支援を続ける。役に立つことがあれば何でも申し出てください」と好意的な対応でした。

<入間市>
田中豊徳助役、諸井清治企画部長が対応。「企画部の中に基地対策課があり、そこで基地問題を扱っている。要請についても努力したい」と回答。自衛隊入間基地とダブルの被害を受けていることもあり、前向きな対応でした。埼玉新聞と読売新聞が要請を取材しました。

<飯能市>
森田清治総務部長、須田秀穂企画財政部長が対応しました。基地対策の部署はおいていないようで、対応姿勢は悪くはないが、入間市に比べるとやや消極的な印象でした。

<東京都>
知事室秘書の佐藤守副参事が対応。訴訟団として、前回の裁判での騒音記録などの協力に感謝の意を表明、「20万近い都民が被害を受けており都民生活を守る立場から協力をお願いしたい。特に知事が被害の実情を見に現地に来る際には、原告住民に会って欲しい」と要請。知事秘書からは「要請内容は知事に伝える。現地に行く日程はまだ不明。原告に会って欲しいとの要望があったことも伝えます」とのことでした。

<埼玉県>
知事が多忙のため、県企画財政部の島村次長、企画総務課の人見主幹と酒井主査が対応。「県知事に皆さんの要望は伝えます」と約束してくれました。埼玉新聞の小川記者が取材のため同席しました。


横田基地は訴状すら受け取らず
ゲートの中にも入れず門前払いの威圧的態度に終始
安陪広報部長担当、憲兵隊市川氏が対応。基地ゲート付近は、クリントン大統領来日のものものしい警備のなかの要請となりました。
訴訟団代表が、「基地内のしかるべき場所でしかるべき立場の人が我々の要請を聞くべき」と、外務省やアメリカ大使館に要請し「当然のことです」と横田基地に伝えたとのことだが、と切り出すと、安陪担当は、「聞いていない。前例がない」と威圧的な対応で、大野代表幹事が声明文を読み上げ、訴状を渡そうとすると「訴状については、米国に対する訴状なので基地としては受け取れない」と声明文以外、訴状やチラシの受け取りを拒否。「基地内で要請したい」との再度の訴えにも「上司に伝える」との回答。訴状すら受け取らない門前払いの威圧的態度に終始しました。


米海軍がNLPを強行米海軍がNLPを強行
訴訟団は在日米軍司令官に抗議電
米海軍は、23日から25日にかけ、横田基地で空母インディペンデンス艦載機によるNLP(夜間離着陸訓練)を強行しました。
基地周辺の五市一町でつくる横田基地周辺市町基地対策連絡協議会や、新横田基地公害訴訟団などの中止要請を無視して実施されたもの。
空母の甲板に見立てた滑走路に着地と同時に離陸するタッチ・アンド・ゴーを繰り返し夕食の団欒を襲う爆音に、住民からは市役所などに苦情の電話が相次ぎました。


↑UP ←BACK  NEXT→