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第10号 (1996年 8月19日) | ||
アメリカ政府は裁判に応じろ | ||
マスコミから注目を集めている対米訴訟が、アメリカ政府が裁判に応じるかどうかをめぐり、最初の山場をむかえています。そして対米訴訟の意義、現状について、弁護団の加藤健次弁護士にご寄稿いただきました。(対米訴訟・予想される事態と対応図を下段に掲載) | ||
「最初の山場むかえる対米訴訟」 | 弁護士 加藤 健次 | |
何故アメリカを被告にしたのか 横田基地の夜間飛行をやめさせるためには、日米両政府に問題の重要性を真摯に受け止めさせて解決をはかることが必要不可欠です。 そのため、今回の訴訟では、1万人の訴訟団をめざすとともに、アメリカ政府も被告にしました。 アメリカ政府を被告にしたことは、マスコミでもおおいに注目されています。また、旧訴訟で、裁判所が「日本政府に差止めを求めるのは筋違い」という理屈で夜間飛行の差止めを認めなかったことからも、ごく率直に考えれば、当事者であるアメリカ政府を相手にするということは当然です。 どこまで手続きがすすんでいるのか しかし、この常識論を裁判所に認めさせるためには、この時期の一頑張りすることが必要です。というのは、日本では、外国政府に対する訴訟について、「外国政府が応じない限り原則として日本の裁判所には裁判権がない」という昭和3年の大審院(現在の最高裁に相当)の判例があるからです。 だいたい国際的な裁判の問題について、戦前の判例が生きていること自体が変な話ですが、それはともかく、この頑迷な裁判所の立場を変えることが重要な課題となります。 また、現在の手続きでは、外国政府相手の裁判については、最高裁から外交ルートを通じて相手国が裁判に応じる意思があるかどうかを確認することになっています。現時点では、最高裁から外務省に送られた段階で、ちょうどこれからアメリカ政府がイエスかノーかを態度表明することになります。 その意味でこれから日本の裁判所でアメリカ政府が裁かれるかどうかという問題について、まさに最初の山場をむかえているのです。 どういう行動がいま必要か 今必要なことは、アメリカ政府には「正々堂々と裁判に応じろ」という要求を、裁判所に は「常識に従って裁判権を認めよ」という要求を突きつけていくことです。 そのためには訴訟団・弁護団では、9月8日から代表団をアメリカに派遣すること、10月下旬から11月上旬をめどにニューヨークタイムズに意見広告を掲載することを決めました。 同時に一人一人がすぐにできる行動として、クリントン大統領と裁判所に対する要請ハガキに取り組むことにしました。 暑いなかでありますが、静かな夜を取り戻す展望を切り開くために共に奮闘しましょう。 |
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対米訴訟・予想される事態と対応 | ||
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要請ハガキ・意見広告に取り組みます | ||
アメリカ政府が横田基地の被害に苦しむ住民の実情を受け止め裁判に応じるように。また、裁判所はアメリカを裁判に出頭させるように、との要請ハガキ運動に取り組むことになりました。 すべての原告世帯が一枚づつハガキを出しましょう。 ハガキは、訴訟団、弁護団で準備し、九月早々から取り組みます。 また、11月の第2陣の提訴に合わせ、アメリカ国民の世論に訴えるために意見広告に取り組みます。 私たちの要求が届けば、アメリカ国民は必ず理解してくれるでしょう。 全国・全都の団体・個人に幅広くよびかけ取り組みます。 |
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静かな夜と住みよい生活環境の実現めざし | ||
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1万人訴訟にむけた地域の取り組み | ||
昭島市田中町団地で懇談会 8月10日(土)夜、団地第二集会所で、中杉、一之瀬、伊藤弁護士と大野代表幹事を囲んで、懇談交流会を開催。原告住民の親睦を深め、楽しく活動していくために、提訴以来の報告会を兼ねて計画し、原告50世帯のうち18人が参加しました。 訴状の内容、対米訴訟の意義、今後の運動などが話され、夜間早朝の飛行実態出されました。 「ともかく横田基地の飛行実態を見よう」と秋にみんなで「横田基地の調査」を企画することにしました。 11月の第2陣の提訴にむけ、いまの3倍の150世帯に原告を広げることを確認しあい、新しいビラを団地内に手分けして配ろうとビラを持ち帰りました。 羽村市で懇談会 8月11日(日)夜、三矢会館で加納弁護士から「新訴訟の意義と現状」の話を聞き、懇談しました。 原告15世帯のうち7人が参加、「飛行機が飛ばなくても電波障害がある」「身体の具合が悪くて寝ているとき飛行機の金属音は耐えられない」などの実態が出されました。「原告を広げることは必要だがなかなか難しい」「みんな騒音に慣れちゃったのか」「政治的な課題だから尻込みするのか」「この運動は特別な人だけでない広がりを作ることが大切だ」「羽村市当局に騒音測定などを働きかけよう」などの意見が出されました。そして、「新しいビラを活用して住民に広く訴え原告を広げよう」と確認しました。 |
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今後の予定 | ||
<8月> 20日 夜間・早朝飛行実態調査(27日迄) 21日 弁護団事務局会議、福生支部世話人会 24日 日野支部結成総会、八王子支部世話人会 28日 訪米団結団式 30日 瑞穂支部世話人会、昭島支部中・西部原告懇談会 <9月> 8日 対米行動(16日迄)、昭島堀向「双葉会」説明会 11日 訴訟団事務局会議 18日 弁護団事務局会議、訴訟団幹事会 25日 弁護団事務局会議 27日 昭島支部世話人会 |
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小学生のみなさん、お手紙を送ってください | ||
7月3日に、中杉弁護士と原告の後藤葉子さんが和光小学校の平和学習で、新横田訴訟の話をしました。 その後、和光小学校平和学習プロジェクト事務局本部より、横田基地周辺に住む小学生にあてた手紙が届きました。小学生の皆さんの質問への回答をお願いします。 私たちは和光小学校6年1組の平和学習プロジェクトというそしきをつくって平和学習に取り組んでいます。 きっかけは、このあいだ、ごとうさんとなかすぎさんに来ていただいて、いろいろ学習しました。 そこで私たちは、横田基地の近くに住んでいる小学生のみなさんのお話をお聞きしたいと思いましてお手紙を書きました。 たいへんお忙しいと思いますが、どうかご協力お願いします。 ○ ひこうきのそうおんで何がこまりますか。 ○ じぎょう中は何がこまりますか。 ○ 夜ねむる時は何がこまりますか。 ○ ストレスはたまりませんか。 などの答えを書いて送ってください。 住所: 〒156 世田谷区桜2-18-18 和光小学校6年1組 へ送ってください。よろしくおねがいします。 和光小学校6年1組平和学習プロジェクト事務局本部より |
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訪米要請団を送ります | ||
「国際法律家協会」の学者、弁護団とともに、横田弁護団の榎本、吉田、井口、吉田、関島、奥田、伊藤の7名の弁護士と、小板橋、遠山の2人の原告が、対米要請行動を行います。 ワシントンで、議会、司法省、国務省、国防総省やシンクタンクを訪問し、ニューヨークに行き、憲法人権センター(CCR)弁護士団体(NLG)環境保護団体などに協力を要請します。 また、訪米に際し、外国記者クラブで記者会見します。 |
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米海兵隊のサンディエゴ移駐再検討へ | ||
騒音に懸念する地元住民の反対世論実る 米カリフォルニヤ州サンディエゴで、海兵隊ヘリ部隊の移転計画に対し、騒音を懸念する周辺住民に反対運動が広がり、このほど同市を訪れたクリントン大統領は、計画の再検討を指示しました。 93年に移駐計画が明らかにされると、飛行ルートが住宅地の上を通ることから、「騒音と安全」に住民の不安が高まり、住民は2万名の署名を集め、大統領に抗議署名と計画変更の要望書を提出しました。 ちなみに、横田基地の年間飛行回数は、約1万7千回、深夜、早朝も住宅地の上を飛行します。クリントン大統領は、日本の住民の声も聞くべきではないでしょうか。 |
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夜間・早朝の飛行実態調査に参加しましよう | ||
東京都や周辺自治体の飛行騒音測定記録によると、深夜・早朝でも飛行騒音が記録されています。 「日米合意事項」の改定で、夜10から翌朝6時までは、原則的に「飛行および地上活動は規制される」ことになりましたが、深夜・早朝飛行はもちろん、エンジンテストや暖機運転が行われています。 このように、「日米合意」は守られていないことから、8月20日より27日まで早朝5時より7時、夜間9時より11時の飛行実態調査を実施します。 原告の皆さん、ぜひ、ふるってご参加下さい。 |
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