新横田基地公害訴訟団ニュース

第11号  (1996年10月 1日)
アメリカ政府は裁判に応ぜよ
「静かな夜」求め、訴訟団・弁護団が訪米行動
訴訟団、弁護団は、9月8日から16日にわたり、原告2名、弁護士7名の訪米団による訪米要請行動を実施しました。
行動を通じ、「アメリカ政府は裁判に応ぜよ」と応訴を求める運動、アメリカ国民に被害の実態を知ってもらう運動の重要性が再確認されました。
これからの運動が大切 弁護士  榎本 信行
今回の訪米は、「沖縄・横田アメリカ行動」という法律家を中心として組織された調査・要請団の一員として参加したものである。
私たちのはかに、沖縄反戦地主、その弁護団、法律家たちが加わった総勢20名の要請団となった。
私たちの目的は、アメリカの関係当局に横田基地の住民被害について知ってもらうこと、米政府が私たちの訴訟を真剣に受け止めて訴訟に応じて欲しいと要請することであった。
日本国際法律家協会のおかげもあって、思ったより多くの方にお会いできた。国防総省、国務省、大統領府(国家安全保障局)の日本担当者、上下両院のスタッフ、民間の市民運動団体、シンクタンクの方々などである。
その結果、アメリカの日本関係当局では、私たちの訴訟は良く知られていることが分かった。
国防総省の国際安全保障アジア太平洋課の担当者ももちろん良く知っていた。私たちの訴訟の応訴の可否のことは、国務省の管轄であることが分かった。応訴するかどうかの問い合わせが、すでに国務省の方に届いているという。これに対する応訴の有無の回答は、国務総省、在日アメリカ大使館などと協議している最中だと慎重な言い回しで答えるのみであった。
これからの運動が大切だと分かった次第である。
総じて担当者を除いて日本の国民に本当に届いていないと感じた。これからも訪米団を組織したらよいと思う。


意見広告の募金にご協力ください
訪米団は、国務省、国防総省、議会関係、国連環境団体、弁護士団体などに要請しました。
しかし、アメリカ国民の9割以上は、日本の首都東京に米軍基地があり30万人もの住民が被害に苦しんでいることなど知らないし、信じていません。
私たちが被害をなくすためにアメリカ政府を訴えたことをアメリカ国民に知らせ、アメリカ政府が、裁判に応じ、被害をなくすようにアメリカの世論に訴えたいと計画しました。
12月の第2陣の提訴の時期に合わせてニューヨークタイムズの一面に「意見広告」を載せます。
掲載費用の約500万円を、各方面の団体や個人のみなさんに募金を訴えて集めていきます。
この運動を通して、広く国内のみなさんに私たちの裁判へのご理解、ご支援を広げていきたいと思っています。
訴訟団、弁護団の皆さんの募金とこの運動成功のための協力をお願いします。


横田・沖縄訪米要請団に参加して
訴訟団代表幹事  小板橋 稔市長
9月8日11時過ぎに成田をたって、13時間後、同じ日付の昼頃、ワシントンはデュポンホテルにテェックイン。16日帰国するまで良く眠れず時差ボケに悩む。しかしそんなことは言っていられない。ワシントン2泊、ボストン、ニューヨーク二泊ずつ夢中の行動。
9日ワシントン在住の藤岡教授の話で、アメリカから見た沖縄問題、NGO(国際非政府組織)が社会を変えるという米国民主主義のふところの深さについて学習。記者会見や日本大使館訪問を経て3日目にボストンへ飛ぶ。連邦政府ビル前での小集会vigilに参加。大きなプラカードに県民投票の結果を伝え、「沖縄や本土からの基地撤去」を呼びかけ静かなデモと雄弁に感激。そこで会ったガーソン、シャーマン等の平和運動家たちの偉さ、積極性に、その後の懇談、夕食会等を通じて深い感銘を受ける。日本の運動、状況も実に良く知ってくれている。ボストンのラジオ局WBNRのインタビュー、多くのガーソン氏の友人達。なかんずく元下院軍事委員会スタッフ、ウオーカーとの会見、また13日には、ハインズ弁護士等とのニューヨークの国連本部でも、「我々は真の日米友好実現のためにも静かな夜を返して欲しいのだ」と訴え続け、「夜眠れないのは大変なことですね」と認識してもらえたと思う。ブロードウエイのCCR(憲法人権センター)でのキノイ弁護士等、アメリカの民衆の基本的人権擁護の闘士達との交流、すばらしい好天に恵まれての「自由の女神」の偉大さに触れたのも感激でした。
私ごときが、歴史的な沖縄のたたかいの先頭に立つかたがたや、要請団のすべての先生方の人柄にふれたことも生涯忘れ得ぬものがあります。
ニュージーランドツアーに続いての訪米の疲れから早く立ち直ってがんばりたい。


夜間早朝の騒音測定実施  [8月20日―27日]
訴訟団・弁護団では、8月20日の夜から、27日の早朝まで、騒音測定を実施しました。
横田基地の南側は、立川中央地区の森田さん宅で、北側は東京土建瑞穂第二分会の分会センターで夜は9時から11時、朝は5時から7時まで測定しました。
騒音計は昭島市と福生市から、記録計などはリヨンから借りました。
会場を提供してくれた森田さん、東京土建瑞穂第二分会、機器を貸していただいた昭島市、福生市、リオン労組のみなさんにお礼申し上げます。
南北各一箇所4人以上が一組で朝夜7日間の参加者は、延べで130人以上でした。
参加いただいた弁護団の先生方、訴訟団のみなさん。早朝深夜まで本当にご苦労さまでした。
現在測定結果を分析していますが、「日米合意事項」が守られていない実態が明らかとなり、今後の裁判資料としても活用されるものとなりました。


クリントン大統領と裁判所あてのハガキを出しましょう
拝啓クリントン大統領様 「静かな夜を下さい」 原告らはがき攻勢へ
1996年9月22日『朝日新聞』より
「大統領。私たちに眠れる静かな夜をください」。
米軍横田基地の騒音をめぐる一連の裁判で、初めて米国政府も訴えた新横田基地公害訴訟は提訴から5ヶ月が過ぎたが、米国が応訴するかどうか、返答待ちの状態が続いている。「早く裁判を始めてほしい」。原告らは、クリントン米大統領と地裁八王子支部にはがきを出すことにした。
「横田基地は住宅地にあり、住民は早朝と深夜の飛行で眠れません」。クリントン大統領に出すはがきは、そう印刷されている。〈ただ静かに眠りたい〉。そんな住民の切実な願いを、直接伝えたかったからだ。そして、「米軍機による深刻な騒音被害を認めて裁判に応じ、被害をなくして欲しい」と求めている。
地裁八王子支部にも、はがきを出す。1928年の大審院決定で、外国政府は自ら進んで訴えを受けて立つ場合などを除いて、原則として日本の裁判権に服さない、という判断が示されている。しかし、弁護団は「この訴訟は安全保障の根幹にかかわる問題ではない。
環境や人権問題などの民事裁判ならできるというのが国際的な趨勢(すうせい)だ」とし、米国を出廷させ、早く裁判を始めるよう、地裁八王子支部に求めることにした。
訴訟団事務局長の角谷さんによると、用意したはがきは各1200枚。近く、4月に提訴した原告のほか、年内にも提訴を予定している第二次訴訟で新たに原告となる人に配り、今月末までに各世帯ごとに投函(とうかん)してもらう。
原告のみなさん
今回の裁判は、初めて国だけでなく、アメリカ政府をも訴えました。
アメリカ政府を裁判所に呼んで一日でも早く裁判を開始することが求められています。
クリントン大統領あて(英文)は表の宛先の上のaddressに住所を、nameに、
原告になっている家族全員の氏名を書いてください。
裁判所宛の表に住所、原告になっている家族全員の氏名。裏には被害や要望をひとこと
書いて下さい。
すべての原告世帯で各一枚を出しましょう。


10月、11月の2ヶ月間で大きく原告を増やし第2陣の提訴を

「静かな眠れる夜と住みよい生活環境の実現」は、米軍横田基地の騒音被害を受けている全ての住民の願いです。
最高裁判決で確定した被害地域に住む損害賠償対象地域に居住する約30万もの住民の中から、できるだけ多くの住民が原告になり、「裁判」を起こすことが、国やアメリカ政府に真剣に被害をなくさせる大きな力になります。
また、裁判を起こし原告にならなければいくら被害を受けているからといっても、損害賠償は支払われません。
4月10日に3140名が原告になって日本の裁判史上最大規模の裁判を起こし、大きな注目を受けました。国やアメリカ政府も関心を示しています。さらに10月11月のあと、2ヶ月間、全力で被害住民に呼びかけ、誘い合って第二陣の裁判を起こします。
とりあえず11月をもって原告集めは打ち切ります。
ひとりでも多くの皆さんに参加してもらうように取り組みましょう。
そのために訴訟団に参加している皆さんに次のことお願いします。
①隣近所、友人、知人(被害地域ならどこでも参加できますので)に原告への参加を直接呼びかけて下さい。
②各地域ごとに新しいビラやポスターを活用して「説明会」を計画し、誘い合って参加してください。
③弁護士や訴訟団の世話人はどこにでも説明に行きますので、どんなことでもご連絡下さい。
④一人の訴訟団の方がこの2ヶ月で一人の原告を広げて下さい。


日野支部が結成総会 1000人の原告めざす
8月24日(土)、22名の参加で、説明会を兼ねた日野支部結成総会が開催され、当日会場で2名の入会申し込みがありました。
結成総会には、弁護団から岸本弁護士、山本弁護士、訴訟団事務局より遠山さんが出席、本部規約、活動方針、役員体制が承認され終了しました。
ただちに第1回世話人会を開催し①10月までに1000人の原告を集める。②チラシ配布などの宣伝。③自治会などの諸団体への申し入れを行う。④騒音測定などに取り組む。⑤定例世話人会を毎月第三金曜日に開催する。などを確認しました。


米軍横田基地を見て
勤医会東葛看護専門学校  平川 亜希
私は、地域フィールドという学校の授業で、地域で働く人々の労働、暮らし、健康を知るということで、労働者、公害、高齢者のなかから選びました。
それは横田基地がどういうものかをもっと知りたいと思ったからです。横田基地があることは知っていましたが、基地のまわりにこんなにこんなにたくさんの住宅があるとは思いませんでした。屋根の上を大きな飛行機が次から次えと飛んで行き、そのたびにゴーという大きな音がしていました。
私はこの地域で4日間生活しましたが、毎日の生活が基地、飛行機とともにあって、話をしている相手の声さえも聞こえなくなってしまうことがあり、あたりまえのこともできないのかと怒りがこみあげました。


経過報告
<8月>
14日 事務局会議
16日 幹事会
20日 八王子世話人会、日野世話人会、騒音測定調査(日本テレビが取材)
21日 弁護団事務局会議、福生世話人会
24日 日野支部結成総会、八王子世話人会
28日 訪米団結団式
30日 NLP抗議緊急夜間騒音実態調査
31日 昭島支部中部・西部地域原告住民懇談会

<9月>
2日  訪米団記者会見
8日  訪米団出発
11日 事務局会議
18日 弁護団事務局会議
20日 日野世話人会
21日 八王子世話人会
22日 埼玉県入間市金子地区説明会
25日 弁護団会議
26日 訪米団記者会見
27日 昭島支部世話人会


22日夜12時15分より、日本テレビの『ドキュメント96』で10分に渡り訴訟団の運動が紹介されました。ビデオは事務局にあります。説明会などに活用して下さい。


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