新横田基地公害訴訟団ニュース

第15号  (1997年 5月 3日)
「訴訟団結成1周年の集い」に参加しよう
5月18日(日)午後2時 瑞穂町スカイホール

昨年2月11日に福生市民会館で300人以上が参加して「新横田基地公害訴訟団」を結成し、4月10日に3140人が国とアメリカ政府を被告に裁判を起こしました。
12月にはアメリカ政府が「日本の裁判権に従うことを拒否する」との態度を表明してきましたが、私たちはその怒りをバネに1月には大々的に原告を増やし2月14日に2781人が第2次提訴をし、総数5921人もの日本の裁判史上最大数の原告団となりました。
2月20日には第1回の裁判が始まり、3月14日には「対米訴訟」について却下の不当判決が出されましたが、私たちは3月24日に控訴し、広く国民世論を盛り上げるために署名運動を始めました。国を相手の裁判も5月29日・7月10日に開かれますが、その準備と傍聴もしっかり取り組んでいきます。
訴訟団結成・提訴1周年を記念して、「静かに眠れる夜と住みよい生活環境」の実現のために一層協力して運動を盛り上げるため、広い地域にわたるみなさんの交流を深め合うための「集い」を開催します。
パネリストで元防衛庁防衛研究所安全保障室長の前田寿夫さんが参加します。会場は横田基地を眼下に見渡せる素晴らしいところで、300人は入れますが、少なくとも200人以上は参加して成功させましょう。
八王子支部では、マイクロバスをチャーターして参加する取り組みをしています。
駐車場は十分ありますができれば相乗りで参加してください。また、電車の人は八高線箱根ヶ崎駅に、車で迎えに行きます。


第二段階に入った裁判
弁護団長  榎本 信行
去る3月14日、八王子の裁判所は、米国に対する夜間飛行差止訴訟については、却下するという判決をしました。日本の裁判所は、外国に対して裁判はできないという戦前の古い判例にしたがったもので、今日の国際社会にあわない判決です。この判決に対しては、訴訟団では控訴して高等裁判所で争うことにしました。
アメリカでも外国を相手に盛んに訴訟が行われていますし、日本で市民の生活に被害を与えている国に対して日本の裁判所が「法廷に出てきて、言い分をききたい」といわないのは、納得いかないという常識的なことを私たちは訴えているのです。
市民の健康と生活にかかわる問題ですので、最後までがんばらなければならないと思います。
実はこの問題は横田基地公害訴訟の玄関先の問題です。裁判の本筋は、これから始まるのです。次回の5月19日の法廷からいよいよ本筋の、国に対する損害賠償請求、夜間飛行中止などの問題が審理されます。
対米訴訟の問題だけいつまでもこだわっているわけにはいきません。アメリカ軍を横田基地に駐留させているのは、日本の国ですから日本政府の責任を追及するのが本筋です。
軍用機の夜間飛行については、ヨーロッパでも問題になっています。東西対立が終わった後、NATO諸国でも軍隊の行動を規制すべしという声が高まり、ドイツでは「日の出前30分から日没10分後までしか飛行していけない、昼休み中はダメ」などという規制ができ、米軍は日本よりも肩身の狭い思いをしています。
こんなこともこれからテーマになります。
また、嘉手納基地でも周辺の騒音調査が行われ、裁判に役に立つ結果が出そうです。こうして、これからの法廷は、いよいよ身近な問題に中心が移ります。アメリカに対する裁判も大いに進めますが、身近な被害も訴えていきましょう。


5月29日(第2回)7月10日(第3回)の裁判をみんなが交代で傍聴しましょう
東京地裁八王子支部4階401号法廷前に、午前9時50分に集合してください。裁判は午前10時から始まります。
裁判官も人間ですから、原告住民が約80人の法廷を一杯に傍聴しているかどうかで住民の被害救済の思いが伝わります。2ヶ月に1回のペースで裁判が開かれますので、年に480人(80×6)ですから、1800世帯の原告がみんなで交替に参加すれば3年に1回参加すればいいことになります。職場を休んだり、からだの具合もあるでしょうから画一的には行かないでしょうが、各支部でできるだけ交替にみんなが参加してくだるようお願いします。
裁判所で生の弁論を傍聴するいい機会ですし、社会勉強にもなり原告としての思いも新た
になります。


不当判決を許さず、3月24日控訴
アメリカ政府を裁判所に呼び出そう

昨年12月にアメリカ政府が「日本の裁判権に従うことを拒絶する」との態度を表明してきました。そして、3月14日に東京地裁八王子支部は「アメリカが日本の裁判に応じないというのだから、裁判はできない」と不当な却下をしました。何ら実質的な討議もせず、70年前の旧憲法下の大審院決定にしたがっただけです。私たちはとうてい認められません。
旧訴訟で最高裁判所が「住民に被害を与えているのはアメリカであり、飛行差止について国を訴えるのは相手が違う」というので、アメリカ政府を被告にしたらアメリカ政府は「日本の裁判権に従うことを拒絶する。」そして裁判所は、「アメリカ政府が応じないのだから裁判はできない」という。日本国民は「何人も裁判所で裁判を受ける権利を奪われない」(日本国憲法第32条)のに、それでは私たちは被害救済のため一帯誰を訴えればいいのでしょうか。私たちは、最高裁が認定した横田基地の米軍の飛行の違法状態を永続させないため、司法による住民の被害救済の道を閉ざすことを許さないために3月24日に東京高等裁判所に控訴しました。
私たちは決して負けません。むしろ、アメリカ政府や国や裁判所こそおかしいし追い詰められているといえます。
「日本の裁判所にアメリカ政府を呼び出すために」そして、国民の裁判を受ける権利を守るために運動を進めます。


自治体要請行動報告(2月14日)
2月14日第2次提訴の後、訴訟団・弁護団がグループに分かれ、東京都、埼玉県、八市一町に要請と挨拶にいきました。(八王子は市側の都合で2月20日)。
概略は以下のとおりです。各自治体首長、担当者のみなさんありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

【東京都 (基地対策副参事 松浦いずみさん)】
都と五市一町近々、国に要請に行きます。みなさんからの要請内容も検討しています。知事も、訴訟がいい結果になるように願っています。」

【埼玉県 (企画財政部長 梅村馨さんら6名)】
「埼玉県も関係市町村と基地対策協議会を作って取り組んでいます。今後は申し入れの主旨にしたがって、横田基地問題も考慮したい。」

【昭島市 (企画部長 志茂さんら3名)】
「訴訟については、新市長も今までどおり支援をしていきます。騒音軽減のため努力していく。「健康調査についても提言していきたい。旋回飛行訓練地域の拡大のないよう要請する。」

【福生市 (市長広報室長 渡辺義紀さんら2名)】
「都と五市一町の協議会で福生市として重点的にNLP訓練、曲技飛行中止などを要請している。国にも厳重抗議した。福生市の広報誌に飛行回数・機種などのせている。防音工事の拡大を要請している。」

【瑞穂町 (企画課長 長岡部親義さん)】
「できることは協力したい。町長の新年メッセージを送りました。」

【日野市 (環境部長 中里正市さん)】
十項目の要請についてはよく分かりました。騒音・飛行実態調査をしています。」

【羽村市 (企画調整部長 飯田さんら3名)】
「2月17日に都と五市一町が、初めてのことだが国の関係機関に要請に回る。都は副知事、五市一町は助役が参加する。従来五市一町では国の窓口は固かったが、都が加わったことで突破口が開かれた。このような要請をしなくても実現してほしい。日米合意も守られていないのではないか。できることからじわじわとやって行きたい。」

【武蔵村山市 (企画財政部長 竹内雅彦さんほか)】
「基地によって町づくりに支障がある。NLP訓練の時には市民から苦情がくる。3年前の油もれの調査だけでも手続きが大変でうんざりした。」

【立川市 (秘書室秘書係長 畠山一美さん)】
「管理職全員が予算議会対応のため会議中で申し訳ない。要請事項については必ず市長に伝えます。」

【入間市 (木下博市長ら3名)】
「埼玉県は東京より早く、県と関係市町村と基地対策協議会を作り協議してきた。要請については分かりました。」(埼玉新聞と東京新聞が同行取材)

【飯能市 (小山誠三市長ら2名)】
「要請については分かりました。訴訟団の活動には敬意を感じます。将来必要に応じ協力を惜しまない。」

【八王子市 (環境部長 茂木幹正さんら2名)】
「市として何もしていないわけではない。NLP訓練中止をいち早く求めた。都と連携を密に、公害測定設備拡充に努力している。」


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