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第18号 (1997年11月10日) | |
対米訴訟シンポジウムに参加しよう | |
米軍基地被害・アメリカの責任を問う 横田基地被害の解決をめざして |
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弁護士 中杉 喜代司 | |
アメリカを被告とする夜間早朝の飛行差止訴訟(対米訴訟)は、現在東京高裁と八王子支部の二ヶ所で審理されています。外国政府であるアメリカ政府を被告にすることができるか。第一審判決は、70年前の判例を持ち出し、アメリカが訴訟に応じないかぎり裁判はできないと判決しました。 しかし、いっぽう日本国被告にした裁判では、騒音を発生させているのはアメリカだから、安保条約や日米地位協定で横田基地の管理権がアメリカにある以上、日本政府に夜間飛行の差止めを求めても無理であると判決しています。これでは現在も騒音をまきちらしている米軍に対し、裁判所では何もいえないのか。こんな理不尽が通用するのか。 この怒りを共通している沖縄から新垣勉弁護士、米第七艦隊基地のある横須賀から呉東正彦弁護士をむかえ、沖縄でのたたかいや、アメリカ本国で裁判をおこしたNEPA訴訟の経験を話していただきます。また、アメリカの裁判に詳しい札幌学院大学の原強教授に、アメリカでの外国政府に対する裁判の実状を教えてもらいます。さらに現在沖縄で被害実態調査を担当され、横田基地の騒音に詳しい武庫川大学の平松幸三教授が、全国の基地騒音の実態に加え、ドイツの米軍に対する騒音規制などについて講演されます。 訴訟団の皆さん、当日はマスコミも取材しますのでぜひともシンポジウムを成功させ、アメリカに対し横田基地の騒音に対し責任を問おうではありませんか。 |
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八王子支部での陳述書の作成はじまる | |
八王子支部(662世帯、2262人)では、10月18日(土)をかわきりに市内各地で陳述書の作成がはじまりました。10月28日時点では市内3ヶ所で46世帯の作成が終了しました。弁護団も都内各地からかけつけ、のべ16人のかたが参加されました。 陳述書作成は、当初一原告あたり40から50分程度を予定していましたが、なかには90分ちかくを要する原告のかたもいらっしゃいました。 騒音地域で長い時間生活されている主婦のかたが、「家庭のコミニケーションがとれない」「子供の受験勉強への影響」「墜落への不安」などリアリティあふれる訴えがなされています。全体として女性のかたの参加が多いのが特徴になっています。 今度の裁判は、八王子地域だけでも2262人の住民が原告になっており、一部のかたを除き、裁判所で直接被害を訴えるのは困難です。今回の陳述書作成で原告ひとりひとりの思いを裁判所に届けたいものです。 八王子支部では、年内にあと3回3ヶ所、来年1月から3月にかけては市内10ヶ所で19回の作成日を具体化させつつあります。弁護団、訴訟団の総力あげて、全原告の思いを陳述書にしてきたいと思っています。 |
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爆音のない静かな街求め 〜第11回横田平和まつり〜 | |
堀 美保子 (昭島) | |
10月19日、好天。緑に囲まれた昭島市内、玉川上水辺りの堀向児童遊園から威勢の良い和太鼓の響き。「第11回横田平和まつり」の始まる合図です。米軍横田基地の飛行直下コースの公園でこのまつりがはじまったのは、1985年、米軍機の夜間飛行差止めを求めて国を訴えた旧横田基地公害訴訟を支援して、三多摩の労働組合、平和団体が共催したものです。 舞台には、「核のない平和な東京・爆音のない静かな街を」のスローガンの下で、保母さんたちのダンスやハンドベルの演奏が続いていました。広場には各団体が出店した焼き鳥、焼きそば、おでん屋さんのおいしそうなにおいがあふれ、すっかりお祭り気分です。 おや、こっちのほうから香ばしいにおい。誘われて行ってみると、何とそれはわが訴訟団のテント内。鮎の炭火焼きをしているではないか。団員の方々が丸くなって鮎をほおばっているので、私も。その香ばしきほっこりしたうまさよ!食べられなかった人ごめんなさい、この鮎は、釣名人の角谷さんが差し入れてくださったものだそうです。 満足して訴訟団の展示を見ると、これがまたすばらしい。訴訟団の活動が写真入で目でわかるよう工夫されたもの。しかもずっしり内容のある展示でした。小板橋代表幹事さんが中心になって4日間かかって作成されたものだそうです。熱心見入り質問してくるかたもいました。 午後になって、日本共産党参議院議員緒方靖夫さん、上田耕一郎さんがテントを訪れ、団員のかたがたと親しく談笑されていました。国会でいちはやく「日米防衛協力の指針」の危険性を証拠をつきつけて鋭く追及した方々とは思えないまろやかさです。心強い見方と感じました。 訴訟団を代表して、山口義郎代表幹事が「新ガイドライン(日米防衛協力の指針)が実施されると、横田基地の騒音が増すばかりでなく、一層危険になる」とあいさつしました。吉田栄士弁護団事務局長は、「静かな人間らしい生活をしたいというあたりまえの要求だからこそ強い。アメリカの市民はもちろん全世界の人々に分かってもらえるはず。6000人の裁判は、歴史上未曾有のこと。皆さんの応援の広がりで支援して欲しい。」と訴えていました。終了後、女性の団員が集まって、女性だけの集いを計画しようということになりました。乞うご期待! |
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横田の証拠 被害実態報告書 | |
弁護士 中杉 喜代司 | |
騒音被害に関する証拠としては、空港周辺の被害実態報告書が最も重要である。 被害実態調査は、聴力などの医学的調査をしたり、心理学テストをしたり、アンケート調査をしたりと、さまざまな方法でおこないます。 これまで、横田基地周辺では、昭和39年から昭和45年に日本女子大学児玉省教授らによって実施された「児玉調書」、昭和四五年の東京都公害研究所によるアンケート調査、昭和51年の旧横田基地公害訴訟弁護団によるアンケート調査があります。 このうち児玉調査は、騒音地域の住民と非騒音地域の住民の双方を調査し、その違いから被害の実態を明らかにしたものです。とくに、飛行コース直下(90W以上)の昭島市立拝島第二小学校の児童や保育園児が性格にまで及ぶ深刻な影響を騒音により受けていることを明らかにしました。 横田基地以外の主な被害実態調査としては、昭和40年代の大阪空港周辺の諸調査、昭和58年から62年、平成4年から5年に2回実施された小松自衛隊基地周辺の谷口医師らの調査、平成四年の沖縄嘉手納基地周辺の北谷町調査、平成七年から現在もおこなわれている沖縄県の被害実態調査があります。 最近、横田基地周辺での被害実態調査が実施されていませんので、周辺自治体による新しい被害実態調査がのぞまれます。 |
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第4回裁判傍聴記 (9月25日) | |
新堰 義昭 (羽村) | |
9月23日に日米両政府が策定した新「ガイドライン」(日米防衛協力の指針)の危険な内容がマスコミで大きくとりあげられるなかで9月25日に第四回裁判が開かれました。 米軍機の民間空港利用に道を開く新「ガイドライン」が、私たちの横田基地公害訴訟に悪影響をおよぼさなければよいにと気にしながら傍聴を行いました。傍聴席はほぼ埋めつくされました。 裁判官が入廷し、冒頭、原告弁護団と「将来請求の予備的請求」のことなど一定のよりとりがおこなわれましたが、裁判長の声が小さく、よく聞こえずイライラしました。(このことについては裁判所に申し入れることになりました。) 原告弁護団からは、精選された証拠書類「横田基地公害訴訟甲号証目録」について、的を射た簡素な陳述がおこなわれました。「アメリカに対する日本の裁判権を認める鑑定書」「横田基地爆音被害調査報告」「航空機騒音による健康被害」をはじめとする156件にのぼる証拠書類はたのもしく感じられました。 原告弁護団は早期解決をめざし、5人の本人尋問を申請、裁判所も積極的にうけとめてくれ、とりあえず次回は二人の本人尋問が実現することになりました。 年明けには瑞穂などでの現場検証も予定されており、訴訟団のとりくみも重要な段階になってきました。傍聴をすると訴訟が身近に感じられるようになります。都合のつくかたは、傍聴をおすすめします。 |
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