新横田基地公害訴訟団ニュース

第25号  (1999年 1月27日)
6000人原告が力あわせ年内結審を
新横田基地公害訴訟団代表幹事  山口 善郎
新年あけましておめでとうございます。原告の皆さん、そして、支部役員の皆さん、お元気でしょうか。
昨年は、きびしいではすまされない国民不在の利権国家を象徴した一年でした。国に対する裁判も第10回を経過して正に大詰めを迎えました。
陳述書の作成は、騒音の事実関係を明らかにする上で、現場検証とあわせて大事な活動のひとつでした。全体で80%の方々に協力をいただきましてありがとうございました。
旧訴訟は18年間もの長いたたかいでしたが、新訴訟については結審も間近で、異例中の異例で驚いております。と同時に弁護団の方々の努力でもあります。
対米訴訟は高裁判決で私たちの訴えが却下され、アメリカを相手どった裁判については、最高裁で争われることになりました。
「静かな夜を返せ」の願いから夜間飛行の差し止めを求め新訴訟を起こしたのであり、騒音公害の賠償金をもらっただけでは本来の目的は果たせません。
米国を法廷に呼び出して裁判を受けさせるため、今後ともがんばりましょう。


初心にかえり気持新たに
新横田基地公害訴訟団代表幹事  福井 弥助
明るい話題が少なかった98年でしたが、私たち訴訟団にとってはそれなりの前進を印した一年でもありました。
暮れも押し迫った12月25日にありました高裁の判決もすでに予想されたものであったし、何ら喫驚するほどのこともなかったように考えられます。
昨年は主として現場検証や陳述書取りに追い回された一年であったし、地道ではあったけれども訴訟団の「団結」を示し、それなりの成果を収めた一年でありました。
この間、弁護団の先生方のご努力と地域幹事、役員の方々のたえまないご努力の姿にはただただ感謝のほかはありません。
既に峠は越えたように考えられますし、あとは初期の目標に向かって前進するのみですが、たまには肩の力を抜いて平常心で過去を振り返るのも一法かもしれません。
もう一度初心にかえって新鮮な気持で今年に臨みたいと思う次第です。
予期できない事態も出てくるでしょうが、お互いそれなりの対応と初心を失わないようにがんばっていきましょう。そこにある光明と曙光は既に見えているように思われるからです。信頼している先生方とともに、私たち原告団がスクラムを組んでいけば、これを阻む力などないはずです。
皆さんのご健康とご多幸を祈りながら、新年のご挨拶とします。


一審判決で有終の美かざりお互いの労をねぎらう年に
新横田基地公害訴訟弁護団  榎本 信行
新年あけましておめでとうございます。今年は、私たちの裁判も大きな山場を迎えます。国相手の裁判の審理が終わる(結審)見通しだからです。そして一審の判決は来年ということになりそうです。昨年の八王子の法廷を振り返ってみますと、まず原告の本人尋問が行われ、12月には、居住環境問題がご専門の荘美知子先生が住宅で騒音が住民の生活にどんな影響を与えるかを分かりやすく証言され、大きな感銘を与えました。さらに、「現場検証」も2回行われました。
アメリカを相手とした訴訟では、東京高裁は、私たちの訴えを却下する判決をし、がっかりさせました。しかし、大審院時代の古い考えを捨てて、主権よりも人権を原則として上位におく考えを示したのは一歩前進でした。最高裁に向けていっそうがんばりましょう。
法廷の外では、訴訟団も弁護団も「陳述書」をとる作業に追われ大変でしたが、どうやら目標が達成できました。この機会に、皆さんのご苦労に感謝したいと思います。さらに、訴訟団、弁護団の代表がアメリカに行き、国務省や国防総省に要請し、ニューヨークでデモをし、また市民団体や学生たちに訴えてきました。
今年は、一審裁判の有終の美をかざり、お互いの労をねぎらう意味で、大々的にお祭りでもやりたいものですね。いかがですか。


[対米訴訟] 裁判権ふみにじる不当判決 訴訟団は最高裁に上告
東京高裁は12月25日、新横田基地公害訴訟のうち、米軍に対する訴訟について、原告の控訴を棄却する判決を言い渡しました。
一審判決より判決理由で一歩前進したものの、いぜんとして「米国政府を被告とすることはできない」とし、憲法に定められた裁判を受ける権利を奪うものです。訴訟団は、28日に上告しました。

「新横田基地公害訴訟」の控訴審判決の傍聴に参加しました。この日は運悪く中央線が事故で運休となり、9時半過ぎて到着したのに、まだ10名ほどしか着いていませんでした。
報道陣のカメラが並ぶ中を原告団先頭に入門、入廷しました。10時少し前に裁判官が入廷、報道陣のカメラが2分間回ります。そのあと判決言い渡しです。

高木裁判長は「本件控訴はいづれも棄却する」という主文を読み上げ、続いて判決理由を読み上げました。気のせいかボソボソという感じでしたが、聞いているうちにだんだんと腹が立ってきました。「安保条約に基づく地位協定によって日本の裁判権は米国政府には及ばない」また、「現行法上はいたしかたない。問題を解決することは、外交政策、立法政策の問題である」と司法の責任をなげすてたものでした。憲法では『第三十二条 何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われない』とな、っているのに、横田基地の存在によって大きな被害に苦しんでいる日本人の権利を守らない裁判所に怒りを感じました。
私たちは力を結集し、世論にも訴え、ねばり強くがんばりましょう。
菅井之正(八王子)


東京高裁対米訴訟判決について
弁護士  加納 力
今回の東京高等裁判所の判決は、結論的にはアメリカを被告として法廷に引き出すことはできないというもので、東京地方裁判所八王子支部と同じ結論でした。しかし、今回の判決は地裁判決とは内容面で大きな違いがありました。
地裁判決は、アメリカが裁判を受けて立たない限り裁判所も手の下しようがないというものでした。一国の裁判所が他の国を裁くというのは、その国の主権を脅かすことになるというのがその理由です。ところが、今回の裁判では、そうした考え方はもはや国際社会では通用しなくなっていることを認めました。国といえども民間人と対等の関係で取引をしたりする機会が多くなり、そこで生じたトラブルの解決のために裁判手続きを利用できるようにする必要性がますます高まっていることは、裁判所としても無視できません。今回の判決は、一般論として、日本の裁判所で外国政府を相手にした裁判をすることへの道を開いたといえます。
ただし、判決は次のように続けます。つまり、在日米軍と日本国民との間のトラブル、特に在日米軍の不法(違法)行為については、日米地位協定の規定上、日本国が処理をするということになっているので、アメリカは裁判を受けなくても良いというものです。地位協定という条約上、アメリカは日本の裁判所で裁判を受ける義務を免除されているという理屈です。
そうすると、私たちが求めている夜間早朝の飛行禁止はどうなるのでしょうか。以前、最高裁判所はアメリカが飛ばしている飛行機の飛行制限を日本政府に求めるのは筋違いだという判断をしています。それなのに他方ではアメリカは裁判の相手にさえできないというのはつじつまが合いません。この点について、判決は法の不備だからやむを得ないと一蹴してしましました。
今回の判決の解釈では、ともすると、在日米軍は犯罪にならない程度の違法行為ならやり放題ということになりかねません。爆音をまき散らし私たちの平穏な生活を奪い取っても、誰も手出しできないことになるのです。これは、憲法で保障された裁判を受ける権利を否定する解釈とさえ言えるでしょう。
今回の判決は、外国政府を被告とする裁判の道を開いた点では一定の評価をすることができますが、日本国民に対してもっとも深刻な被害を与える軍隊の行為を黙認する点で不当な判決と言わざるを得ません。結局、裁判所は、私たちの「静かな夜を返してほしい」というささやかな要求に目を向けようとしなかったのです。この点は最高裁判所での審理に残された課題です。
声明

東京高等裁判所第三民事部は、本日、新横田基地公害訴訟のうち、米軍に対する訴訟について、我々原告(訴訟人)らの訴訟を棄却する判決を言い渡した。
この判決は、控訴審での弁論を開かず、米軍に対しての訴状の送達もしないで、原告、住民らの控訴を棄却したもので、不当と言わざるを得ない。
大審院昭和3年判決及びこれを踏襲した原判決は、外国に対しては、その国が応訴しないかぎり、わが国の民事裁判権は及ばないという絶対的主権免除主義の立場をとっていたが、本判決は、これを覆して、外国に対しても、原則としてわが国の裁判権が及ぶとするいわゆる制限主権免除主義を採用した。これは、わが国の裁判史上初めてのことであり、また、人権・環境保護を国家主権よりも優位に置こうとする国際的な流れに適合したもので、その点は一歩前進したものとして評価すべきことと考える。
しかし、本裁判は、米軍の飛行活動に対する規制に関する事項については、地位協定十八条五項の規定により、主権免除を適用すべきだとして米国に対する我々の訴えを却下した。これは米国の不法行為について国の損害賠償にとどまらず禁止請求についてまで米国政府の当事者適格を否定したもので、原告住民らが司法により法的救済を求める道を閉ざすものであり、憲法に保障された裁判を受ける権利まで否定するもので極めて不当である。
最高裁判所は、かつて横田基地における米軍機の飛行を違法と断じたが、にもかかわらず国に対する夜間飛行の差止請求は、米軍という外国軍隊の飛行活動に関することであるから筋違いだとしてこれを却下した。本判決で米軍に対する訴えさえ却下するというのであれば、原告住民らの法的救済の道は全く閉ざされることになる。
我々は、最高裁判所が、今日の国際人権思想に則り、夜間飛行禁止というささやかな要求を認める判決をすることを求めて、直ちに上告する所存である。
今後、我々は、この要求が、人類普遍のものであることを確信し、多くの人々のご支援のもとに引き続き闘うことを誓うものである。
1998年12月25日   新横田基地公害訴訟団   
             新横田基地公害訴訟弁護団
各地域の基地訴訟団が新春メッセージ
昨年は、横田に続き上瀬谷で対米訴訟が提起され、今年は嘉手納がそれに続きます。各地で裁判をたたかっている仲間のメッセージを紹介します。

夜間飛行差し止め求め今年新訴訟を提起
嘉手納基地爆音防止住民共闘会議議長代行  仲村 清勇
新年おめでとうございます。
16年間の長きにわたる裁判闘争を続けてまいりました嘉手納爆音訴訟も昨年五月の高裁判決をもって、一区切りをつけました。皆様のご支援のおかげで高裁判決では、W値75地域(但し、環境基準上のT類地域のみ)の損害賠償請求容認、「危険への接近法理」の全面排斥、損害賠償額の増額を勝ち取ることができました。
しかし、沖縄県の健康影響調査では八名の騒音性難聴者が検出され、またその他の著しい健康被害、生活被害が明らかにされており、爆音被害の実態は何ら改善されておりません。
我々、嘉手納基地周辺住民としましても、悲願である早朝、夜間の飛行差し止めを実現するため、本年は新訴訟を提起すべく、決意も新たに運動に取り組んでおります。
日米地位協定や米軍の厚い壁をうち破るために、今後ともなお一層のご支援、ご指導をお願いしますとともに、各訴訟団間のさらなる連帯の強化を祈願いたします。

アメリカを相手にともにがんばろう
上瀬谷基地問題懇談会代表委員  成田 悧
新横田基地公害訴訟をたたかっておられる皆さんに、改めて敬意と連帯のあいさつをお送りいたします。
アメリカと国を相手取った米軍上瀬谷基地返還訴訟は、「目的が終わった基地は返還しなければならないという地位協定の規定通りに基地を返還せよ。民法の規定を守って賃貸借契約期限切れになった土地を返せ」という当たり前な主張の是正を問う裁判です。市民の目線で十分理解され支持されると信じています。それだけに今回の裁判判決と同様に日米安保条約や地位協定の問題を、多く人に改めて考えさせる機会となるでしょう。
上瀬谷訴訟では、いまのところアメリカは応訴しないといっていますが、今回の新横田基地公害訴訟の東京高裁の判決が制限主権免罪主義を採用したことによって、「直ちに訴状送達せよ」という私たちの主張の正当性がいっそうはっきりしました。ともに最後の勝利までたたかいましょう。

9割の住民アンケートで騒音被害実証
小松基地爆音訴訟原告断言国団長  広瀬 光夫
小松基地ジェット機騒音のアンケート調査についてその概要を報告し、「小松」からのあいさつにかえさせていただきます。
1998年4月から6月までの3ヶ月かけて、騒音の悪影響を調べる住民アンケート調査を実施し、結果を得ることができました。労組協、原告団、そして医療法人寺井病院が調査班を編成し、騒音コンター別に8ヵ所、対象世帯数834件で調査を実施しました。一軒のこらず聞き取りにまわり、89%の回収率を得て、疫学的な水準は十分満たすものになったと自負しています。これによって、地域住民の騒音被害についての訴え率が高いことが実証されたと思います。3月11日(木)の第15回の法廷において、内容を詳細に証言することがすでに決まっています。
このようにして、小松基地の爆音訴訟は、地道な調査を積み重ねて勝訴をめざしながら、同時に新ガイドライン反対の運動や、日米共同演習への抗議もおこない、全体として、「平和で静かな夜を取り戻そう」のスローガンのもと、たたかい続けています。
以上、1800人の原告を代表して、首都圏のみなさんへのご報告といたします。

厚木基地騒音期成同盟  書記長  崎浜 重信
離合集散を繰り返す不安定な政界、経済界の不況で失業者の続出、それに伴い凶悪犯罪と暗いニュースが続くなか、せめて明るいニュースとし、厚木基地第二次騒音訴訟控訴審の高裁判決で、厚木基地周辺住民の環境を破壊する米軍機には違法侵略行為あり、依って原告の訴えを全面的に認めすべての飛行は差し止めとする、との判決が出ないかなと、夢見ております。
これからも、嘉手納、小松、横田基地訴訟でたたかっております皆様と連携して、訴訟勝利にむけて頑張りたいと思います。


上瀬谷基地返還訴訟
上瀬谷通信基地は、横浜市の瀬谷区、旭区にまたがる242ヘクタール(横浜スタジアム92個分)の広大な基地でしたが、ソ連解体や通信衛星の発達などにより、95年2月には金網の囲いの外のすべてのアンテナが撤去され、今では広大な緑の「遊休地」となっています。
また、基地の4割以上を占める民有地の賃貸借契約は、97年3月19日で期限切れとなっており、以後は、更新契約を結ばなかった地権者の土地については不法占拠の状態になっています。
ところがアメリカは、不要になった上瀬谷基地の跡地に、横須賀や厚木基地のための米軍住宅や倉庫郡を建設しようとしています。
そこで、自分の土地は自分で守るしかないと、森繁徳さんが、98年3月19日に、アメリカ合衆国と日本を相手に訴訟を起こしました。
この裁判は、民法に基づいて自分の土地を返せという民事裁判ですが、同時に日米地位協定にさえ違反した不法占拠を許さない裁判です。
また、新横田基地公害訴訟に続いて日本政府とアメリカ合衆国を被告にしている点も注目されています。


周辺自治体首長から訴訟団への新年のメッセージ(順不同)
<瑞穂町>
新年あけましておめでとうございます。
日頃より、航空機騒音のない快適な生活環境を守る貴団のご活躍に対しまして、心より敬意を表します。本町といたしましても、住民の生活環境を守る立場から、航空機騒音をはじめとする基地問題解決に向けて取り組んでいく所存でございます。年頭にあたり、皆様方のご健勝を心よりご祈念申し上げ新年のご挨拶といたします。

平成11年1月
瑞穂町長  関谷 久



<福生市>
新年あけましておめでとうございます。
新横田基地公害訴訟団の日頃のご活躍には敬意を表する次第であります。本訴訟につきましては、横田基地周辺九市一町の住民が航空機騒音等に関して、訴訟なされ、現在口頭弁論が開かれていると聞いておりますが、市といたしましても航空機の騒音につきましては、議会並びに東京都と周辺市町連絡会として解決を図るべく、以前から、横田基地での艦載機訓練の中止、常駐機での市街地上空の飛行訓練中止、或いは、正月三が日や、日曜、祝日の飛行停止等について、国及び基地に対しまして要請をいたしておるところであります。
今後も引き続き、基地が所在することによる様々な被害の軽減について、粘り強く要請していく所存であります。
貴訴訟団のさらなるご発展をご祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。

平成11年1月
福生市長  石川 彌八郎



<入間市>
新年あけましておめでとうございます。
静かな眠れる夜と住み良い生活環境を求め、ご活躍されている皆様に深く敬意を表します。
本市としましては、従来から関係機関に対し、安全飛行の徹底及び航空機騒音の軽減等各種の要請や要望活動等を実施ひておりますが、今後ともより積極的に取り組んで参る所存であります。
年頭にあたり、皆さまのますますのご健勝と、一日も早く安全で快適な生活環境が実現されますよう祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。
平成11年1月
入間市長  木下 博



<昭島市>
新年あけましておめでとうございます。
貴団の日頃のご活躍に心より敬意を表する次第であります。
昭島市といたしましても、従来から騒音被害の解消にむけて東京都や周辺市町とも協力して関係機関に要望等を続けてまいりました。
本年も、引き続き市民の安全と生活環境を守る立場から、最善の努力をしてまいる所存であります。
年頭にあたり、皆様方のご健勝と、ますますのご活躍を祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。

平成11年1月
昭島市長  北川 譲一



<羽村市>
新年あけましておめでとうございます。
横田基地周辺地域の「静かな夜と住み良い生活環境」の実現のため、日夜ご尽力を続けられている皆様のご活躍に敬意を表します。
羽村市といたしましたも、昨年11月、「横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会」において、国及び在日米軍に対し、航空機騒音の解消及びNLPの全面的中止等についての「横田基地対策に関する要望書」を提出するなど、基地周辺住民の生活環境改善のための働きかけを行ったところであります。
本年につきましても、引き続き関係機関との連携を密にし、基地に起因する諸問題の解決にむけて取り組んでまいる所存であります。
最後に、訴訟団の皆さまのますますのご健勝をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

平成11年1月
羽村市長  井上 篤太郎



<立川市>
新年あけましておめでとうございます。
新横田基地公害訴訟は、基地周辺住民の方々の騒音被害解消に対する願いのあらわれだと理解しております。
立川市といたしましても、平成10年11月、市民の安全と生活環境を守る立場から、「横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会」を通して、関係機関に対し、基地対策の拡充を行うよう共同要請を実施してまいりました。今後も東京都や周辺市町と連携し、本年につきましても、引き続き関係機関との連携を密にし、基地に起因する諸問題の解決にむけて取り組んでまいる所存であります。
皆様のますますのご健勝をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

平成11年1月
立川市長  青木 久



<飯能市>
新年あけましておめでとうございます。
皆様方のご活躍により、一日も早く、静かな夜と住み良い生活環境が実現するようご祈念申し上げます。

平成11年1月
飯能市長  小山 誠三



<日野市>
新年あけましておめでとうございます。
すべての人が安心して暮らせる平和な世界を望みます。日野市では、平和が市民生活の基本であるとの理念のもとに、「核兵器廃絶・平和都市宣言」を行っています。
新横田基地公害訴訟団に参加された多くの市民の皆さんの「静かな夜と住みよい生活環境」を求める切実な願いが今年こそ実現されることを願っております。
訴訟団のご活躍に期待して、新年の挨拶といたします。

平成11年1月
日野市長  馬場 弘融



<八王子市>
八王子市からは、環境部環境保全課管理係の山崎さんより、「八王子市のメッセージは以下のとおりです。『今後の推移を見守りたいと思います』。」とファックスで連絡がありました。



<武蔵村山市>
昨年メッセージをいただいた武蔵村山市からは今年はメッセージがよせられませんでした。


訴訟団訪米報告@
10月16日から9日間、人権先進国といわれるアメリカで政府関係者と民間団体に横田基地の公害問題を訴える目的でとりくまれた訴訟団、弁護団の第三次訪米行動は、大きな成果をおさめることができました。
今回より、数回にわたり、訪米行動の概要を掲載します。
目の当たりにした広大な基地の閉鎖 基地環境汚染と除去作業
サンディエゴコース  小板橋 稔市良
ニューヨーク平和行進横断幕、プラカード、ウインドブレーカー十着に「せめて静かな夜を」との願いを書き込み、さらには展示用資料、参加者各自の訴えの英語版、日本語版の作成、事務局である日本国際法律家協会事務所での夜遅くまでの作業と大奮闘し、出発まえの10日間はあっという間に過ぎていきました。
訪米2日目、厚木基地の20倍の広さを持つというみラマ―基地を通り、その後、連邦政府の役人として環境調査・浄化作戦の陣頭に立つ国吉信義氏の出迎えを受けマーチ空軍基地へむかいました。
マーチ空軍基地は、2800ヘクタールのうち、3割を占める850ヘクタールが1996年に閉鎖、現在国家環境政策法(NEPA)、包括的環境対策保障責任法(CERCA)にもとづき閉鎖部分の浄化がおこわれており、沖縄の大田知事なども基地汚染クリーンアップの視察にみえたそうです。
基地のあるところは必ずPCBなどによる環境汚染問題があるわけですが、環境浄化に大金をついやし、市民への情報公開や公聴会などもおこなわれています。連邦政府よりきびしい州の条例が優先されるアメリカの民主主義がおもしろく、日本では考えられない浄化のためのプロセスに感心させられました。
ロサンゼルスの北米沖縄県人会長もつとめる国吉氏の事務所で説明を受けたあと、横田基地に輸送機を送り続け、現在は閉鎖されている元ノートン基地へ、民間機の修理工場や外壁にかわいい絵が描いてある幼稚園、その付近の浄化施設を視察しました。
国吉氏との懇談では、アメリカのミリタリズムと民主主義が話題になり、情報公開が非常にすすんでいるのに驚きました。国吉さんは、インターネットを通じ、横田基地の燃料漏れ事故のことまで知っていました。氏の「日本でも自治体に条例をつくらせて基地の立ち入り調査をすればよい」という話は、アメリカ人らしい発想だと思いました。
18日には、原子力空母配備に反対するキャロル・ジャンコウさんの案内で「世界最大の軍港」といわれるサンディエゴ港を視察しました。
観光船に乗り、不気味な10万トン級の原子力空母や原子力潜水艦、などを目の当たりにしました。
艦内では、キャロルさんが、放射能や化学物質の汚染場所について詳しく説明してくれました。
サンディエゴでも地道に平和運動をやっている人がいることに目をみはりました。
基地汚染の問題は日本ではあまり知られておらず、情報公開もすすんでいません。2日間の基地視察は、横田など日本の米軍基地の汚染問題を深く示唆しており、学ぶべき多くの教訓を含んでいました。


日本学園中学校3年生80人 フィールドワークで横田基地見学
12月9日、世田谷区の私立学園中学(鈴木昭二校長)の3年生約80人が、社会科授業の一環として立川市の砂川基地跡地でフィールドワークをおこない、訴訟団の基地公害の説明を熱心に聞き入りました。
授業で、「平和的生存権」をおびやかされた事件のひとつとして、砂川闘争が取り上げられ、今回のフィールドワークに実施のはこびとなったものです。
同校では、現在子どもたちの感想をまとめており、「来年もぜひ実施したい」としています。


在日米軍 公立高校入試時の飛行停止を約束
正月三が日は今年も飛行
12月24日の朝日新聞報道によると、米軍横田基地は、12月23日、「東京都と神奈川、埼玉県の公立高校入学試験の時間帯は飛行を停止してほしい」との日本側の要望に応じると発表しました。2月16日、23日、25日の3日間の入試時間帯のすべてで、緊急医療搬送など、予期できない場合以外は飛ばないとしています。
広報部は、正月三が日も、緊急飛行以外の訓練飛行はしないことも明らかにしました。
周辺自治体や訴訟団の要請に応じたものです。
基地司令官のマーク・A・ポルチェフ空軍大佐は「良い教育の重要性はどこでも共通であり、我々はこどもたちが最善をつくすあらゆる機会をもてるように望んでいる。彼らの幸運と成功を願う。」との談話を発表しました。
訴訟団は、この間、正月三が日、祝祭日、休日、地元の運動会、入学試験日、入学式の飛行を行わないよう申し入れています。11日には再度横田基地を訪れ、「正月三が日の飛行停止を求める要請文」を在日米軍および第5空軍司令官と第374空輸航空司令官に提出しました。
要請文を受け取った同基地広報担当官は、「基地では要請に最大限努力するが、病気の患者輸送などの緊急の場合は飛行しなければならない」と回答しました。
今年の三が日の飛行停止は実現しませんでしたが、飛行回数はのべ22回で、昨年の31回及び10年間の平均を下回りました。(拝島第二小学校のデータによる)
1日 2日 3日 合計
1990年 8 55 30 93
1991年 18 12 27 57
1992年 8 9 18 35
1993年 1 13 7 21
1994年 1 0 0 1
1995年 7 8 11 26
1996年 11 18 45 74
1997年 15 18 19 52
1998年 5 14 12 31
1999年 5 7 10 22
平均 7.9 15.4 17.9 41.2
拝島第二小学校屋上の測定による


米軍がNLPを強行
訴訟団は、1月13日、3人で横田基地をおとづれ、在日米軍司令官兼第五空軍司令官のジョン・B・ホール中将と、在日米軍横田基地第374空輸団司令官に対し、11日から開始された空簿記ティーホーク艦載機訓練をただちに中止するよう要請しました。
福生市によれば、11日の訓練は、通告の20時を30分もオーバーしておこなわれ、住民からの同市への苦情も10件に及びました。
あわせて、公立高校以外の学校の入試時の飛行停止を要求しました。
訴訟団の要請に対し、米軍は。「横田基地司令官は訓練の中止を要請したが、在日米軍司令官の命により訓練をおこなっている」と回答しました。


陳述書作成8割を超える
昨年1年取り組まれた原告の陳述書作成は、昨年末現在で1402世帯となり、原告の総世帯数の8割を突破しました。
陳述書の作成数は日本裁判史上最高の数となり広大な被害地域全域にわたる陳述書が提出されたことになります。
この取り組みが、被害立証に大きな力となることは間違いありません。
ご協力いただいた原告の皆様にあらためて御礼申し上げます。
陳述書作成状況
世帯数 作成数
昭島 555 435 78.4%
福生 218 185 84.9%
八王子 624 528 84.6%
日野 148 113 76.4%
立川 13 5 38.5%
武蔵村山 7 5 71.4%
羽村 19 13 68.4%
瑞穂 135 94 69.6%
入間 18 16 88.9%
飯能 13 8 61.5%
1,750 1,402 80.1%


短歌   堀 美保子
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