新横田基地公害訴訟団ニュース

第34号  (2000年11月15日)
結審・判決への準備着々
弁護団事務局長  吉田 栄士
裁判所は、結審判決に向けて、本腰を入れて準備をしています。
この10月、11月に裁判所と打ち合わせをしてきましたが、いよいよ、結審判決だなという感を強く持ちました。
11月8日に裁判準備手続きが行われました。この時までに、原告側は原告の居住経過の一覧表を提出することになっておりました。
しかし、まだ完成しておりません。原告数が多いこともその理由ですが、裁判所からの要望にそった一覧表作りをしていますので、予想以上に時間がかかっています。 ただ、これは正に判決をにらんだ準備です。
裁判所も私たち原告も被告の国もこれほどの大量訴訟は初めての経験ですので、予想以上に手続きに時間をとっているのは事実です。
ただ、これは手間の問題でので、裁判内容とは別問題です。
甚大な被害がある以上、被害を認める判決が出ることは確信しています。
次回の裁判(準備手続き)は12月25日です。 12月中にすべての作業を完了する予定です。裁判所を、そして住民を動かすため、23日の「秋のつどい」を成功させる事、「勝利判決を求める署名」をできるだけ集めること、これが今、最重要課題です。
弁護団も頑張ります。みなさんも最後の奮闘をお願いいたします。


「新横田訴訟の勝利をめざす秋のつどい」の成功を
とき  11月23日(勤労感謝の日)
    12:00〜15:00
    (舞台開会13:00〜)

ところ 堀向児童遊園

基地めぐり
    11:00 会場出発
    12:30 会場出発
    15:00 会場出発


やっぱり「せめて静かな夜を」
―新嘉手納爆音差止訴訟―
小板橋 稔市良
9月28日、沖縄市で第一回口頭弁論がありました。
その前夜の決起集会では、我が弁護団長榎本先生が横田訴訟における国側のなりふり構わぬ妨害、「危険への接近・個別被害立証」や、縮小「新騒音コンター」の策動などを説明。
これまでの裁判で確定している共通被害・共通被害立証をも無視しようとする国と、皆で団結して闘いましょうと挨拶。 小板橋は、「せめて静かな夜を」というあまりにも当然な運動の全国的な高まりが、最近の横暴極まるNLPへの周辺住民の抗議殺到と相まって、「もう米軍との友好関係も中断する」と声明する首都圏首長などの動きも紹介。
世界に例のない基地の中にある沖縄の方々が五千五百余の団結で立ち上がった横田訴訟団との連帯の歴史的意義を強調させてもらいました。
法廷は30人定員と狭いため、数百人は法廷外に待機。法廷内では、弁護団、原告など10人の弁論がありました。
「早朝から響くあまりの非常識な爆音にやり場のない怒りと悔しい思い」「相次ぐ事件、事故の精神的、肉体的苦痛」などなど、切々たる訴えがなされた。
嘉手納中学1年生の池原少年は、基地間近の爆音の中で育ち「那覇市に泊まったときは、他の地域はこんなに静かなんだと初めて気づいた。少しでもいいから爆音をなくしてもらえたら、とても助かります」と陳述。子どもの心情を代表する控えめな言葉には、心を打たれました。
応援弁論に立った我らが松浦弁護士は、沖縄では住民が超過密な基地の中で暮らしており、軍事基地の持つ危険性が放置されている過酷な条件の下で、もし国が「危険への接近」などを主張することがあったら、裁判所はそんな主張は門前払いにしてしかるべきと雄弁をふるいました。
さすがに3人の裁判官も原告側の声涙ともにくだる弁論を真摯に聴く態度でした。
沖縄の法廷を傍聴できて、ともに日米両政府を相手にする裁判、まず横田で嘉手納にも喜んでもらえる勝利判決を勝ち取らねばと心から思いました。 


八王子支部がんばる  
―平和を愛する文化祭―
「第三回八王子平和を愛する文化祭」が10月21日、22日、北野市民センターを会場に催されました。
訴訟団八王子支部は、「静かな夜を返せ」という思想、信条を超えた闘いの記録を市民にアピールしました。
被爆者団体の「原爆と人間」展、「戦争に反対した人々」展、写真・絵画展、沖縄の歌や踊り、歌声広場、ソプラノ歌手佐藤真子さんの独唱と多彩な催しは、500人の参加でにぎわいました。
展示の準備から始まり、当日の説明、署名、11月23日の「秋のつどい」への参加呼びかけと、八王子支部はがんばりました。 


公害の根絶求めて 『第25回 全国公害被害者総行動』

9月27日、28日、全国公害被害者総行動デーとして、企業、政府関係機関への交渉や決起集会などが行われました。
訴訟団、弁護団では、環境庁長官交渉をはじめ、外務省、防衛施設庁交渉、決起集会に参加しました。
また、これに先立ち、都庁へ「軍民共用空港化反対」署名24,079筆(前回提出分との合計33,985筆)を提出してきました。
▼防衛施設庁交渉     八王子支部  小木 宏

ヘイタイの前をよぎり我々は
      平和を還せと言挙げに行く

今年で25回を迎える「全国公害被害者総行動デー」が行われた9月27日、米軍基地関係の公害被害者住民団体の人々とともに、防衛施設庁に交渉に行って来ました。 沖縄から新嘉手納爆音差止原告団、麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会、米軍上瀬谷基地の返還と跡地利用問題懇談会、と私たち新横田基地公害訴訟団から八名が参加して、総勢12名、他方、国側はそれより多い15名が参加して行われました。
内容は「守れない協定とはどれだけの重みがあるんですか」「協定違反を日本政府は米軍に言えないのですか」(新嘉手納原告団)との追及に、「運用を調べる立場にない」との答弁に代表されるように、逃げの一手という感じでした。 横田ついては、騒音測定を低くして裁判所や周辺自治体に配布している意図を追及しましたが、施設庁側が答弁できないという場面がありました。
来年からは、明確な回答をさせるよう研究しようという総括をして文京シビックホールに向かいました。


▼米軍活動を弁護する外務省担当者     昭島支部  大野 芳一

9月27日午後2時、外務省交渉は横田、嘉手納、上瀬谷、麻布の各団体代表・弁護団および沖縄選出の東門、照屋両国会議員同席のもとに行われた。なお、外務省側は水鳥日米地位協定室長が対応した。
すでに提出しておいた要請書に基づき、まず嘉手納に対する回答から始まったが“言質”を取られまいと核心に触れないノラリクラリとした国会答弁同様の回答に、照屋議員から「爆音の激しい砂辺地区に住んでから答えろ!」と一喝される有様。
ついで横田の回答に移ったが、相変わらず嘉手納の回答の二番煎じのため、室長発言にあった9月11日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意された「環境原則に関する共同発表」で取り上げられた環境対策について追及した。
合意の中身である「日本環境管理基準(JEGS)」は在日米軍司令部が自主管理基準として97年1月作成成したものであり「艦船、航空機、基地外の作戦・訓練要件には適用されない」と明記されてあり、NLP、低空飛行訓練、実弾演習などの環境対策には何ら役立たない代物です。
室長は、このような実体に触れず、いかにも環境対策が効果的に行われるかのような言い逃れを繰り返すばかりで呆れかえってしまいました。


「横田基地 全面返還を」 都・周辺市町連絡協議会が要請へ
新聞報道などによりますと「横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会」は11月8日、横田基地の整理・縮小・返還について協議し、国と米軍に対して初めて要請することを合意したとのことです。 これまでの基地の存在を前提にした、騒音被害への抗議などにとどまらず、基地そのものの返還を要求することになり、早ければ今月中にも要請を行うことになります。
石原都知事は『首長さんたちの会議は周りの被害をどれだけ軽減させるかが議題だったけど、それだけではらちがあかない。基本的な姿勢を鮮明にしようということで確認した』と話しています。 石原都知事がすすめようとしている軍民共用空港化については、昨年10月「協議会の確認事項にしない」との確認がされています。

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