新横田基地公害訴訟団ニュース

第37号  (2001年5月22日)
「結審日」決まる 年内にも判決か
弁護団事務局長  吉田 栄士

いよいよと言いますかやっとと言いますか、「結審日」が決まりました。 7月27日(金)の午前10時から12時までの2時間が結審法廷日です。
「結審」というのは最後の裁判日のことで、このときに、これまでの「まとめ」の「最終準備書面」を読み上げます。
後は「判決」ということになります。判決日はそのときに決められます。7月に結審ということですから、今年中に判決が出されることはまず、間違いのないところです。
「新横田基地公害訴訟」は、95年の夏から裁判をするための運動を始めました。
全部の被害地域の方々と話し合い、96年4月に第一次訴訟を提起しました。そのときの原告数は3140でした。
その後二次、三次と訴訟提起をし、原告数約6000人になりました。 これはこれまで我が国の裁判では最大の原告数です。
第一次提訴から5年強で判決を迎えることになります。
この間、法廷での裁判は21回、裁判のための準備手続きは27回を重ね、原告本人尋問、現地での現場検証、証人尋問、陳述書作成、弁護団、訴訟団の合宿などの訴訟活動、運動面では、三次にわたる訪米活動、ニューヨークタイムズ紙の意見広告掲載、何回かの署名、シンポジウム、公害総行動での外務省、防衛施設庁交渉など、この5年間の活動を思い起こすと、きりがありません。
そして、今年3月には全国公害弁護団連絡会議の30回総会を八王子で行い、裁判、運動の盛り上がりの中で、「結審」「判決」を迎えることになります。
あとは最後のまとめです。時間がありませんが弁護団は全員結集して、この7月の最後の法廷のために頑張ります。
訴訟団も勝利判決を得るために、様々な活動を積極的に行ってください。
勝利はすぐ目の前です。
最後までがんばりましょう。


原告の皆さん 力を合わせて 勝利判決を 勝ち取りましょう
5月2日の準備手続きで結審日が決定しました。
私たちの誠実な裁判協力と、多くの方々から寄せられた「公正裁判・被害救済のための早期結審・判決要請」署名が実った瞬間でした。
それはまた、裁判が結審近くまで進行していた2年程前から始まった、国のなりふり構わぬ引き延ばし作戦に終止符が打たれた瞬間でもありました。
しかし、確固とした勝利判決確定までさらなる運動を進めていかなければなりません。
現在取り組んでいる「被害救済の判決を求める要請」署名をもっともっと広げていきましょう。
また、勝利判決に向け、支援の輪を広げたり、私たち原告の固い結束をはかるため「秋のつどい」を10月21日に予定しました。 これらを大きく成功させ、判決を迎えたいと思います。
裁判の経過や見通しなど、今後のことは、結審後、きめ細かい説明会を弁護団の協力のもと開催していきます。ぜひご参加下さい。
まずはじめに力を発揮するのが、7月27日の結審日です。
「静かな夜を返せ」の願いの大きさを、溢れかえる傍聴者で示していこうではありませんか。
すべての原告がしっかりと手をつなぎ、頑張っていきましょう。


「静かな夜を返せ」
「被害救済の判決を求める」署名をさらに

昨年の10月から、勝利判決に向け取り組み始めた「被害救済の判決を求める」要請署名は一万七千筆まで来ました。原告である私たちが頑張らないと勝利はありません。街へ出掛け、メーデー会場などへ出掛け、特別でもなんでもない、あたりまえの願い「静かな夜を返せ」を訴えてきました。
特に訴訟団八王子支部では、地元でこの訴訟に理解を得よう、支援の輪を広げよう、と頑張っています。

また、本当に多くの方々にもご支援、ご協力をいただき、毎月のように三千、五千と裁判所に届けることができました。今後も、判決まで頑張っていきます。いっそうのご支援をお願いいたします。


▽お墓も静かな方がいい
八王子支部  野澤 幸子
3月18日に新横田基地公害訴訟の勝利をめざす署名活動に参加しました。
ここ久保山町に来て早いもので、10年になります。このパークヒル宇津木台は、横田基地の飛行機が飛ばなければとてもすばらしい環境と思うと、残念でなりません。 お彼岸のうららかな休日のこの日、署名活動をしている私たちの頭上を大きな飛行機が爆音をとどろかせながら、飛んでいきました。日本の空を米軍機が・・・どうなっているのでしょうか。
お買い物途中の方々に私たちのささやかな訴えを聞いていただき、快く同意していただきました。
頑張ったかいあって、153筆も集めることができました。
「ここに父が眠っています。お墓も静かなほうがいいですね」また、「厚木基地の近くに住んでいるんです。ここもうるさいですね」などとおっしゃっていた方もいました。
結審、判決まであとひといきです。


▽裁判の意義を訴え 168筆の署名をいただく
コープとうきょう高倉店前 八王子支部  中村 光春
八王子、日野支部は、4月22日(日)午後1時より3時までコープとうきょう高倉店前で我が裁判の勝利判決を求める署名行動を11名の参加のもとに意気高く行い、目標100筆にたいして168筆の署名をいただきました。
旗を立て、ハンドマイクで、そして署名用紙を持った人も口々に買い物客に、道行く人に訴えました。
当日の天気は壮快でしたが、ときおり激しい春の突風が吹く中、署名用紙を押さえながらでもありました。
署名をしてくれる人はさすがに被害を日常感じているのでしょう。がんばってくださいと激励の声をいただきました。
また、さすがに被害地域であるから、署名をしてくれない人でも関心を持ってみてくれていて、好意的であったように思いました。
署名をしてくれた人の中では、この裁判を知っている人が約半数いたとの報告もありましたが、もっと地域での宣伝が必要であると感じました。
多くの地域で、住民の目に映る活動をさらに展開すれば勝利判決が早く勝ち取れると思いました。 


八王子で公害弁連総会が開催されました
弁護士  加納 力
3月24日、八王子労政会館で全国公害弁護団連絡会議(公害弁連)の第30回総会が開かれました。
公害弁連は古くは水俣病、イタイイタイ病、スモン病、四日市公害、大阪空港騒音公害から、最近では川崎、尼崎、名古屋南部、東京の大気汚染、小松、嘉手納の基地騒音などまで、全国各地で公害問題に取り組んでいる弁護団の集団です。私たち新横田基地公害訴訟弁護団も公害弁連のメンバーになっています。
今回八王子で総会が開かれたのは、結審が迫っている新横田訴訟を公害弁連をあげて応援しようというのが一つのねらいでした。
総会に先立って「大気から空港へー静かな夜を取り戻すためにー」と題する記念シンポジウムが開かれたのもそのためです。
昨年、尼崎、名古屋南部の大気汚染裁判で相次いで汚染ガスの排出差止の判決が出されたことを受けて、空港騒音訴訟でも念願の夜間飛行差し止めを勝ち取ろうというものでした。
シンポジウムではまず、基調講演として本間浩駿河台大学教授から「日欧それぞれにおける地位協定と駐留軍隊の軍事訓練をめぐる対応の格差」というご講演をいただき、引き続いて本間教授、大気訴訟弁護団から篠原義仁弁護士、新嘉手納基地訴訟弁護団の西村健弁護士、新横田訴訟弁護団から事務局長の吉田弁護士で行われました。
理論的な問題はもとより、差止では私たちより一歩進んでいる大気汚染訴訟の経験談は私たち弁護団にとって勇気づけられるものでしたし、差止判決の前も後も、原告、被害者団体が不断の運動を続けていることも、私たちが教訓とすべきであろうと思います。
また、今回の総会には韓国から金浦空港騒音訴訟を担当している、崔榮東(チェヨンドン)弁護士と、韓国環境訴訟センターの朴良圭(パクヤンギュ)氏を招き、特別報告をしていただきました。(留学経験のある弁護団の松浦先生が通訳に当たられました)
韓国ではまだ公害事件に取り組む弁護士が少ないとのこと、今後、協力関係を築いて行くことも必要となるかもしれません。

 
韓国の基地被害
小板橋 稔市良
3月下旬、日本平和委員会のピースツアーで韓国の二カ所の基地被害の一端にふれ、交流してきた。
一つはソウルの北、東豆川市セモク渓谷の小火器射撃場。そこでは毎週予告もなしに戦車が生活道路を走り、農民が一人流れ弾で殺され、10人もけがをしたそうだ。
こうした米軍の横暴に対して、小さな村の住民たちは基地拡張の計画を阻止したという。その闘いを聞き胸が熱くなった。 もう一カ所はソウル南方60キロメートルの梅香里(メヒャンニ)の射爆場。
ここは今、韓国の基地問題の焦点となっている。
昨年A10攻撃機がトラブルを起こし、6発の爆弾を住宅地に投下したため、数人が傷つき、二百数十の家屋が被害を受けた。憤激した世論の前に、この射爆場での演習は中止に追い込まれた。 しかし、沖合の島に対する爆撃演習は年間250日、夜11時まで、時には24時間ぶっ通しで行われ、三つあった島が全容を残しているのは一つだけという。
この訓練での騒音のひどさは想像を絶するものであろう。
一昨年提起された梅香里の訓練騒音訴訟が勝利判決を得たとのニュースが帰国後すぐにもたらされたのは感慨深いものがある。
私たちの横田基地騒音訴訟の運動に熱心な質問を繰り返したチョン・マンギュ現地対策委員長(漁民)の若い顔が忘れられない。


基地騒音被害 救済を求めて
6月7日は全国公害被害者総行動デー
環境週間中の6月7日、全国の公害被害者が一堂に会し、公害問題についての政府の取り組みをただす、省庁交渉を行います。
わが訴訟団は、他の基地関係訴訟の原告団や弁護団とともに、基地騒音被害の改善をもとめて、外務省および防衛施設庁との交渉を行います。
道路公害の差止判決が、つぎつぎと出される中、今年は基地公害についても、何らかの成果を引き出すため、環境週間を軸にして、今後も引き続き交渉を積み重ねていくことにしています。
アメリカ側の厚木基地に隣接する産廃処理業者への操業停止要求については、政府は50億円もの費用をかけて直ちに停止させるという素早さであったが、騒音被害については放置したままで、いっこうに解決を見ない実情を、両省庁がどう考えているかを、ただす予定です。
具体的には、米国がわれわれの訴訟に応訴するよう最大限度の措置を講ずること、および横田基地周辺でのC130、C9などの旋回訓練や、市街地上空でのNLPを直ちに中止させるよう要求することにしています。 また同時に、防衛施設庁に対して、民家防音工事の助成範囲を現行コンターの70WECPNLL区域まで拡大することを要請します。
交渉後は、日比谷公会堂に集まって、総決起集会が開かれます。
ここでは「総行動25年の到達点と21世紀の課題」という基調報告のほか、今年は新横田訴訟団の原告でもある「天笑楽」出演のアトラクションや各公害被害者団体などとの交流会がもたれます。


横田基地周辺の実態を体験して
宮城民医連泉病院  前谷津 温子
私たちの病院では、社会保障を学習するためにさまざまな事を実体験する企画に取り組んでいます。
4月19日から横田基地に近い松井さん宅にお世話になり、公害訴訟団の方とも懇談する機会を得ました。
参加した若い職員からは、基地内の広々とした道路に比べ、すれ違うのもたいへんなせまい道を走らなければならない事や、住居や施設が国民の税金から、思いやり予算として政府が建設している事に、改めて憤りを感じたという感想が寄せられました。 
当日は早朝訓練がなく、緑にあふれた静かな住宅地でした。
いちどエンジン音が数分間聞こえ、それだけでも驚き、訓練があれば生活に多大な支障をきたすことが想像できました。
訴訟団の方から騒音のために健康を害したり、数百軒の住宅が移転しなければならなかった地域住民の話を聞き、本当に許されないと実感できました。

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