新横田基地公害訴訟団ニュース

第46号  (2002年11月28日)
一丸となって早期解決を
弁護団事務局長    土橋 実
みなさんこんにちは。前任の吉田栄士弁護士から引き継ぎ、控訴審より弁護団事務局長を務めさせていただくことになりましたのでよろしくお願いいたします。
さて、五月に出された東京地方裁判所八王子支部の判決は、過去の損害賠償の支払は命じましたが、残念ながら悲願の夜間早朝の飛行差し止めと将来の損害賠償請求は認めませんでした。
過去の損害賠償についても、危険への接近の法理を適用して損害賠償を減免したり、陳述書を提出しなかったことを理由に損害賠償を認めないなど、これまでの騒音公害裁判で勝ち取ってきた内容より後退した側面があります。一〇月に出された厚木基地騒音公害訴訟の判決が、危険への接近法理を適用しなかったことと比べてみても、八王子支部の判決は不十分だといわなければなりません。
すでにご案内のとおり、原告だけでなく被告国も第一審の判断を不服とし、東京高等裁判所へ控訴手続きをとりました。
弁護団ではこの夏二度の合宿を行い、控訴理由書を完成し裁判所へ提出いたしました。国の控訴理由書も出そろっており、年明けにも高等裁判所で審理が開始されることになります。
控訴審では、まず、厚木や嘉手納の判決と同様に、本件に危険への接近法理を適用すべきでないことを明らかにし、被害地域に居住する(あるいは居住していた)全ての原告に対し、損害賠償が認められるようがんばります。
また、引き続き、夜間早朝の飛行差し止めや将来の損害賠償の支払も求めていきます。すでに第一審で十分な審理を行いましので、控訴審は速やかなる被害救済を求め、弁護団一丸となって早期結審へ向けて取り組む所存です。
なお、この間訴訟団の世話人を通じ、控訴審の訴訟委任状の集約活動も行ってきました。ほとんどの原告の方から訴訟委任状を提出していただきましたが、まだ一部の方から訴訟委任状が提出されていませんので、未提出の方は至急手続きをお願いいたします。
なお、事務局長の変更に伴い、事務局事務所も変わりましたのでお知らせいたします。

(弁護団事務局事務所)
立川市錦町1117-5  三多摩法律事務所
電話 042-524-4321


弁護士報酬の敗訴者負担制度」に反対しよう
いま、司法制度改革が進められています。市民に裁判がより利用しやすいものにするのがその目的です。
しかし、この中に「弁護士報酬を敗訴者が負担する制度」の導入が同時に検討されています。この制度は、裁判に負けた側が相手方の弁護士費用もすべて負担することを制度化するものです。
裁判は勝つか負けるかは判りません。もしこの制度が導入されると、費用負担のリスクを恐れ、裁判に踏み切れないまま泣き寝入りをしたり、不本意な解決を迫られることになりかねません。
日本弁護士連合会は、この制度に反対する立場から一一月二二日弁護士会館クレオで集会を開き、欠陥住宅、医療過誤、その他さまざまな訴訟事件の例を取り上げながら、この制度の問題点を指摘しました。
われわれ訴訟団もこの集会に参加し、この制度導入によって司法が、資金力のある社会的強者に奪われかねない重大さを実感しました。


届け高裁へ 原告それぞれの願い
▼被害住民全てに迷惑料を
福生支部  前田正蔵
「うるさいし、恐ろしい」「困ったもんだ」「なんとかしてほしい」・・この地域に住む人々の共通の気持ちです。
私は長年この福東地域の町会長を務めていますのでよくわかるんです。 「基地の近くに住んでいるからしょうがない」ではすまされません。国民がいて、国があるんですから。国は「迷惑をおかけしてすみません。どうぞ使ってください」と補償するのが当たり前です。くだくだ理屈をつけて賠償金の減額を図るなど言語道断です。私鉄沿線ではちゃんと迷惑料が支払われているのをご存じですか。
誰のために、何のために「騒音」が出されているのかを考えてください。国民を守るためと言うなら、一部の人だけが迷惑を被るのはおかしいではありませんか。原告であるなしにかかわらず被害地域に住む人すべてに迷惑料が払われて当然と思っています。
これからまだ続くようですが、訴訟団だけでなく、周りの住民や自治体をも巻き込んで運動を広げたほうがよいのではないでしょうか。もっと多くの人で国を逃げられないよう追い込んでいきましょう。私もできる限りの協力をします。
町会長というのはこれでなかなか忙しいのですが、高裁には何とか都合をつけて行ってみたいと思っています


▼危険への接近は何故おこったのか
八王子支部  和久郁子
22年間住み続けた大和田町公団南原台団地の賃貸住宅から今年5月久保山町に引っ越しました。
あちこち痛み始めた部屋を直すと大金がかかること、決して安くない家賃を死ぬまで払い続けることが困難と相談してる時、久保山の中古分譲マンションの広告が目に入りました。夫の勤め先は小さな企業でいつどうなっても不思議ではない社会情勢です。その上定年まで後3年という時期に、退職金もあまり期待できない、再就職しても収入はかなり減る子とはまちがいない状況で転居を決めました。地域的に友人関係が保たれること、経済的に「終わりの見える支払い」だということ通勤距離がこれまでより本野少し遠くなるだけだということ。静かで一階であることは、これから高齢になっていく私たちにとってちょうど良い。
6年前、大和田町で新横田基地公害訴訟団に入り、一日も早く爆音の無い暮らしをと願い続け、また、住み易い生活環境をと自治会などにも取り組んできました。しかし生きていく中で、必要で選択したその場所がたまたま、またもや被害地域であったのです。 騒音を選んだのではありません。生活する、生きるということは「経済」「生活圏」「老い」が存在していることをこの年齢で改めて実感していす。危険へわざと近寄ったのではないことをわかってほしいです。


▼届けたいささやかな願い
昭島支部 敦賀紀代子
昭島市大神にずーっと住んでいます。ですから旧訴訟にも参加しました。
当時は主人もおりましたので主婦でしたから、裁判や現場検証、地方から支援してくださる方が体験にいらしたら我が家に泊まったりといろいろ参加させていただきました。主人を亡くしてから仕事に就いたため八王子の裁判所には一度も行くことができず申し訳なく思っています。土曜日曜にある行事にはできるだけ参加してきました。基地があるから仕方がないと思うけど長年願ってきた「せめて夜は飛ばないでほしい」という願いはいまだ実現していません。今度は高裁と聞いています。一度くらいは長年願ってきた事を届けに行きたいと思っています。

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